其の175:肉弾系超絶アクション「マッハ!」

 映画「ロッキー・ザ・ファイナル」で久々に<生身のアクションの醍醐味>を満喫した筆者ですが(御年60でチャレンジしたシルベスター・スタローンは偉い)、ムエタイの国タイで制作された「マッハ!」もマジで凄い!!
ふふふ、私はどこの国の映画でも観るのですよ。フィリピン映画さえ観た事があるしね。ちなみにタイトルは「スパイダー・ボーイ」(爆笑:もうこれだけで内容と出来がわかるでしょ)。アジア映画は・・・奥が深い(笑)。


 ストーリーは村の大事な仏像(さすが仏教の国)が奪われたので、主人公はそれを取り戻すべく一路バンコクへ。そうした中、悪い組織と対決する破目になる・・・という至って単純な話(笑)。
でもアクション映画だから複雑じゃなくてもいいのよ!「燃えよドラゴン」だって「ランボー」だって筋はシンプルだしね。


 この映画、公開当時「CGは使いません」、「ワイヤー・アクションもやりません」、「スタントマン使いません」、「編集で早回しはしません」・・・といまのアクション映画の作り方を真っ向否定!本当に主人公を演じるトニー・ジャーが生身で演じています。
監督もトニー(本物のムエタイ有段者)もジャッキー・チェンジェット・リー(「少林寺」時代はリー・リンチェイ)をリスペクトしているとあって気合いの入り方が違います。なんせ劇中、足に火がついたまま跳び蹴りして敵を倒す荒技まで披露(=本当は火がなくてもいいシーンだけど)!
で勿論、カットがかかるとスタッフが消火器で慌てて火を消している(笑)。


 また途中では、主人公が敵の一味を追って道路に飛び出したりするんだけど、そこへ当然、車が走ってくる(お約束)!すると主人公はひらりと身体を滑らせ車の下に入って交わす!!!
ジャッキー映画同様(真似?)、エンディング・ロールは「NG集」なのですが・・・当然、うまくいくまで何度も撮り直し。ホント、命懸けです。


 その昔、「アクション映画」のカテゴリーには「戦争映画」や「スポーツ映画」(あるいは「西部劇」、「ギャング映画」も)が広い意味で入っていました。要はシンプルなドンパチや殴り合いです。ところがいつしかアクション映画の定義も狭くなり且つ撮影内容も複雑になっていきました。
香港映画に代表される「ワイヤー・アクション」や「CG」による合成(「マトリックス」ほか)、「早回し」(映画の予告編で一時期多用された)というテクニック優先の作品が主流になったのです(これは新たな表現の追及に他なりませんが)。
かのジェット・リードニー・イェンさえ「HERO(チャン・イーモウ監督作品。キムタクの連続ドラマではない)」等でワイヤー・アクションを使うようになりましたが、本当に観客を感動させるのは<真の肉体によって表現されるアクション>です。
それが今ではジャッキー・チェンの映画とトニー・ジャーの作品ぐらいでしかお目にかかる事が出来ません。その意味でも「マッハ!」は<貴重な一作>といえるでしょう。
ハリウッドのような大予算をかけた大作では決してありませんが、真摯にアクションを追求した質の高い娯楽作です。お薦め!!


 ・・・と言いつつワイヤー・アクションやCG技術によって作られた「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」や「ダイ・ハード4.0」を観ようかな、と考えている自分もいますけど(苦笑)。