其の167:デ・パルマの初期傑作集!!

 流麗なカメラワークに巧みな映像テクニック、そして驚愕のサスペンス(でもちょっと下品)を次々と作り出し「ヒッチコックの後継者」と呼ばれる(呼ばれた??)その男の名はブライアン・デ・パルマ。彼の熱狂的なファンを「デパルマニア」と呼ぶ・・・らしい(ホント??)。
昨年「ブラック・ダリア」で怪しくも魅惑的な世界(ちょいチープだったけど)を展開した氏の初期の傑作3作品をご紹介しよう!


 まずは「悪魔のシスター」(’73)。デ・パルマがハリウッドにその名を刻んだ本格スリラーである。「多重人格」や「倒錯」、石井輝男も「恐怖奇形人間」で取り上げた「シャム双生児」等を題材におどろおどろしい映像世界を作り上げた。音楽は敬愛するヒッチコック映画の常連バーナード・ハーマン!「赤」を重視した映像とハーマンの音楽は・・・マジで怖い(苦笑)。
出演者には後の「ファントム・オブ・パラダイス」や「ブラック・ダリア」にも出演しているウィリアム・フィンレイをはじめ、ヒロインにはマーゴット・キダーを起用。初期作品でありながら「長回し」や「スプリット・スクリーン」を始め、いかにもデ・パルマらしい一作だ。


 1976年の「キャリー」は、スティーブン・キング原作初の映画化であり、デ・パルマ初のヒット作でもある(アボリアッツ・ファンタスティック映画祭グランプリ受賞)。いじめられっ子の少女キャリー(シシー・スペイセク)が超能力によって大暴れ!得意の「スプリット・スクリーン」や「スローモーション」を駆使して盛り上げる盛り上げる(笑)。
 また、物語が一段落したところでアッと驚くサプライズを仕掛けて観客をビックリ仰天させる「はしり」としても有名だ。ジョン・トラボルタナンシー・アレン(後にデ・パルマと結婚&離婚)、スピルバーグの最初の奥さんエイミー・アーヴィングも出演して注目された「青春映画」の側面もある。ピノ・ドナッジオの音楽も絶品!


 そしてサイコ・スリラー「殺しのドレス」(’80)。欲求不満の人妻アンジー・ディキンソン(「ビッグバッドママ」)がエレベーターで殺されるシーンが、ヒッチコックの「サイコ」のシャワーシーンの模倣(「パクリ」ともいふ)として知られている(笑)。で、またまた映像技法を凝りに凝りつつ、「多重人格」や「のぞき(これも「裏窓」から来ているのだろう)」を取り上げた。で、ヒロインには当時奥さんだったナンシー・アレンをキャスティング。彼がノリノリで仕事したのがよく分かる(笑)。だが、いかんせんエロティックなシーンが多いことから、あやうく「成人指定」を受けそうになったり、「女性蔑視」だとしてマスコミから叩かれた<曰くつきの作品>でもある(苦笑)。


 この他にもヒッチコックの「めまい」にオマージュを捧げた「愛のメモリー」や大御所カーク・ダグラスマイケル・ダグラスの父ちゃん)出演の「フューリー」。クエンティン・タランティーノも激賞のジョン・トラボルタによる苦いサスペンス「ミッドナイトクロス」等々が初期作品としてあります(既に「スカーフェイス」や「ボディ・ダブル」はこのブログで紹介してあるので割愛)。またインディーズ時代には、ロバート・デ・ニーロとも仕事をしていたのは映画おたくは知っているトリビア
で「アンタッチャブル(=デ・ニーロがアル・カポネ)」や「ミッション:インポッシブル」といったヒット作も作りつつ、「虚栄のかがり火」や「ミッション・トゥ・マーズ」、「ファム・ファタール」といった作品でコケると(笑)。傑作と珍作・怪作が入り交じる巨匠ブライアン・デ・パルマからまだまだ目が離せませーん。


 えっ?「ファントム・オブ・パラダイス」が書いてないって?いや、あれは彼の作品の中でも「別格」でしょう・・・。これはまた後日のネタにするんだもーん。乞う御期待(笑)!