其の160:異色ヒーロー見参!「御用牙」

 大物俳優・勝新太郎。彼の<代表作>といえば北野武がリメイクし、泉谷しげるがパチンコで扮した(笑)「座頭市」がすぐ思い浮かぶ。だがその一方、勝新が日本劇画化界の雄:小池一夫大先生原作「御用牙」の主人公に扮していた事は余り語られない。特異な小池ワールドと破天荒な勝新(自らのプロダクションで製作)。この2人の<合体>はもの凄い作品として結実した(笑:でもホント)!!


 勝新の役どころは江戸・北町奉行所の同心:板見半蔵(通称「かみそり半蔵」)。悪を倒すためなら権力にも決して屈しないアウトロー十手持ち!シリーズ第1弾の「御用牙」では、うるさい上役:大西孫兵衛(西村晃)の弱みを握るため彼の動向を監視していたところ、意外な事件にぶち当たる・・・というもの。


 原作漫画は小池一夫・神田たけ志によって、ほぼ「子連れ狼」と同時期に連載スタート。ストイックな「子連れ狼」の拝一刀と異なり、半蔵は事件解決の為なら平気で女も拷問にかけて一発ヤル女好き(笑)。その為、自ら拷問の実験台になるわ(自分も拷問受けるから「痛みが半分」。で、「板見半蔵」というネーミング)、風呂場でチ○ポにお湯と水を交互にかけたり、叩いたり、米俵に突きさしたりして息子を鍛錬!で、そのイチモツを使って事件の裏を知る女の口を割らせる・・・こんな特訓をするヒーローを考えつくのは世界広しといえども小池先生だけだろう(爆笑)。
 更に半蔵の屋敷は敵の襲撃に備えて「忍者屋敷」も真っ青の仕掛けが満載!専用の「拷問部屋」のほか、天井や壁からは槍が突き出したり、弓矢が発射されたりもする(笑)。こんな設定からもいかに半蔵が異色のヒーロー(一応、いい奴)である事がわかるだろう。


 映画第1作目は脚本・小池一夫、監督・三隅研次による黄金コンビ(この当時、常に「時代劇」には三隅の影がある)。半蔵の拷問セックスを受けるのは元祖ボイン:朝丘雪路渥美マリ。三隅得意の「人体スパスパ描写度」は低いものの、分割画面(江戸の地図と歩く半蔵が同時進行)やイメージ映像(責める勝新、喜ぶ雪路、チ○ポの主観移動:笑)を駆使して楽しませてくれる。


 シリーズ第2作「御用牙 かみそり半蔵地獄責め」では、かの増村保造が監督・脚本を担当(増村がこの作品を手がけた事は誰も語らない:苦笑)。撮影はなんと宮川一夫!!前作よりエロ度とコミカル度(勝新の部下役:草野大悟蟹江敬三がいい味出してる)が増加した。
ちなみに増村はシリーズ第3作にして最終作となった「御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判」で脚本のみ担当している(監督は井上芳夫)。


 タフでアクティブ・・・勝新太郎のキャラクターにまんまダブってくる「かみそり半蔵」。漫画とはあまり似てないけど(笑)、興味がある方は是非、原作コミックスをお読みください(未だに売っているところが凄い)。衝撃の展開&ラストが待ち受けていますぜ!!