其の463:不定期更新「座頭市」シリーズ6

 勝新太郎のライフワーク、「座頭市」シリーズの6回目を更新します。ここまで回数いくとは・・・筆者の初期構想を越えましたワ(苦笑)。



 前作より1年(注:勿論、勝新はその間他の映画には出てるのよ^^)ー。記念すべきシリーズ第20作「座頭市と用心棒」が1970(昭和45)年1月15日に公開された。製作は勝プロ、配給は大映・・・なのだが、なんと共演に三船敏郎(タイトルでも分かるけど)!!さらに「東宝」の岡本喜八が監督・・・という、凄いメンバーとなった。



 血を見るのがすっかり嫌になった市は、三年前に訪れた平和な村を思い出し、再び訪れることに。ところが、その村は今ではヤクザの小仏一家によって大きく変わっていた。市の来訪を知った小仏の政五郎は一家の用心棒・佐々大作(=三船敏郎)に市を斬るよう依頼する。一度は断った佐々だったが政五郎に百両出すと言われて市の元へ。しかし、市の腕前を知った彼は、その日は斬るのを諦め、市を酒に誘う。入った居酒屋で、市はかつて手を引いてもらった梅乃(=若尾文子)と再会する。程なく市は、自分の凶状のため捕吏に捕まり牢へ。だが、生糸問屋・烏帽子屋の口利きで番屋から出して貰う。烏帽子屋の主人・弥助は政五郎の実父であるが2人は対立、一方、政五郎は父が隠している“金塊”を密かに狙っていた。そこで烏帽子屋は市を手許に置いて身を守ろうと考えたのだ。金塊を巡って、2つの組、そして市と用心棒が動き出す・・・。


 黒澤映画の「用心棒」と「座頭市」の夢の対決!!・・・これ特撮におきかえたら「ゴジラガメラ」みたいなもの(笑)。でもおそらく劇場に駆けつけた観客が驚いたのは、なんといっても市の“頭髪”だと思う。なんせ1作目以来、8年ぶりの“完全丸坊主”(→2作目からはずっと短髪だった)!!DVDの特典には気合いを入れるため頭を刈る勝新の映像が収められている。そんな今作、製作はご難続きだったことでも知られている。

 どうしても尊敬する三船と共演したかった勝新は、監督に三船と仕事をしたことのある岡本喜八に監督を依頼。その結果、三船も出演を了承したものの・・・当初、予定されていた脚本を岡本が気に入らず、自らホンを書くことにしたのだ。で、最終的に書きあがったのはクランクインの3日前だというから・・・スタッフはホントに大変だったろうなぁ(苦笑)。内容自体、<2組の敵対するヤクザ>という設定は、ほとんどオリジナルの「用心棒」、引いてはこの「座頭市」シリーズでもよくあるパターンだが(笑)、ジョン・ヒューストンに影響されたであろう「黄金」の設定を加えたところが岡本脚本の妙か。

 撮影はこれまでにもシリーズを担当してきた宮川一夫。でも、この御仁、腕はピカイチだが、時と状況によっては監督の指図を無視することもある頑固一徹の人。一方、岡本喜八監督は有名な「コンテ主義者」!全カット、自分で書いたコンテ通りに撮らせることで知られている。勿論、この2人が・・・あうわけがありませんなぁ(困)。当然、「勝プロ」の社長である勝新が宮川に謝りまくって何とか・・・撮影を終えたそうな。一方、三船も“ゲスト扱い”ぐらいだと思っていたら代表作の「用心棒」が全面に出ていてビックリ仰天したそうな。「ウエストワールド」のユル・ブリンナー、「ドン・サバティー二」のマーロン・ブランド同様、「用心棒」&「椿三十郎」の“セルフ・パロディ”を演じた気持ちを是非聞いてみたかったな〜。

 筆者の感想でいうと・・・これまでのシリーズを知ってる監督じゃないんで、「座頭市」の“におい”が・・・ちょっと違うんだよな〜!親友のSくんも「黒澤の“用心棒”の世界に“座頭市”が入った感じ」と言っていたが、筆者もそう思う。それゆえ当時の批評でも「これは座頭市ではない」と叩かれたのではないか。“オチ”も2大時代劇ヒーローが戦うわけだから・・・言わずもがなでしょ?勝新的には苦労した分、これまでのシリーズ中、最大のヒットになったから良かったかもしれないが^^。



 

 そして同年、第21作「座頭市あばれ火祭り」が公開。監督はこれがシリーズ最後の登板となった三隅研次。撮影はまたまた宮川一夫(よく仕事受けたな!)。脚本には山田隆之と勝新が共同であたった(脚本初執筆)。この作品を配給したのは<ダイニチ映配>ーここで、ちょっと当時の日本映画界においての説明が必要だろう。

 
 俗にいう“日本映画・黄金時代”は昭和25年から昭和33年ぐらいまでをさすが(映画人口、実に約11億人:驚)、テレビが発売・普及すると(→当時の皇太子・明仁親王成婚パレードがきっかけ)徐々に観客が減り始め、1960年代末期には各社ジリ貧状態に(東映だけは何とか黒字)。東宝、松竹は不動産やレジャー産業で損失を補填していたが、製作本位に偏重していた大映と日活の落ち込みは酷いことになっていた。そこで1970年4月、大映と日活で配給・興行面の全面提携を目的とした共同配給機構<ダイニチ映配株式会社>が設立される。(1)大映と日活で毎月3本ずつ製作(2)全国の大映&日活直営館で「大映週間」、「日活週間」、「大映・日活週間」の月3プログラム、計6本の配給を10日間替わりで行うーというもの。「座頭市あばれ火祭り」はそんな状況下で公開された。
 結局は・・・うまくいかなくて日活は1971年11月「ロマン・ポルノ」路線へ、大映は12月に倒産するのだが・・・それはもうちょい先のお話。



 さて、話戻って今作の<あらすじ>を。
 盲人ながら関八州を牛耳る暗黒街の将軍、通称:闇公方(=森雅之)の組織の者たちが百姓相手に闇年貢を強制的に取り立てていたのを見た市は、思わず彼らを斬ってしまう。その為「座頭市を消せ」という命令が全国に伝えられる。その夜、市は妾市で、もと旗本の若妻だったという女(=大原麗子)を助ける。これをきっかけに市は夫の浪人(=仲代達矢)からも、命を狙われる羽目となる・・・。


 まぁ、豪華キャストですよ!森雅之仲代達矢大原麗子にピーター、金田龍之介に再出演組として西村晃なべおさみも出ている。で、敵は遂にヤクザを越えた闇公方(盲人同士で囲碁をさす凄いシーンあり)!!「回を重ねる毎に敵が強大化」・・・って「少年ジャンプ」方式を勝新も取り入れていた(笑)。

 タイトルの「あばれ火祭り」は、クライマックスで座頭市が闇公方に言われるまま池の中央の浮島に行ったところ、周囲に火をつけられてあわや・・・というシーンに由来する。もっとも過去20本観てるこっちからすれば、市は泳ぎも得意なのを知ってるので彼が大丈夫であることは分かってるんだけどネ^^。

 敵のタマもいいし(森も仲代もそれぞれいい味出してる)、アクションも派手。これも面白かったな〜。ぶっちゃけ、前作よりお薦め^^。勝新が脚本に参加したことは次回、ないし次々回の更新につながるエピソードなのでメモリーして!


 
 1970年に公開された「座頭市」は・・・僅かにこの2本のみ(ホント、本数減ったよな)。


 敵もマックスでデカくなった「座頭市」。次はどうなることかと思いきや・・・翌71年、意表をついた作風でスクリーンに登場するー。



          <この項、さらに続く。あと2、3回・・・だろう。多分。うん>