其の136:元祖渋谷系?「シャレード」

 先日、リメイクされた「ピンクパンサー」を観て小粋なオープニング・アニメや音楽を愉しんだ(映画自体もまぁまぁ笑えたけど、やはり「オリジナル」のイメージが筆者には強かったな)。そこで、同様の<お洒落>系列として一瞬「黄金の七人」を考えたのですが・・・いつものように止めて(笑)、オードリー・ヘプバーンの「シャレード」を紹介!オードリーの隠れた傑作であると同時に「ヒッチコック・パターン」の後継作としても大変よく出来ている。


 離婚を決意したレジーナ(=オードリー)がスイスのスキー・リゾートからパリに戻ると夫が殺されていた!それをきっかけに怪しげな男たちが次から次へと現れる。どうやら亡くなった夫は戦時中に大金を横領、隠匿。その分け前をめぐって殺されたらしい・・・。やがて、危険は彼女の身にも及ぶようになるのだが・・・。


 中身はコメディ・タッチのミステリー。ただし冒頭から<謎>また<謎>、<どんでん返し>に次ぐ<どんでん返し>で先の展開予測不可能!!ラストまで来ても未だ騙されるんじゃないかと観ていて不安を覚えた(苦笑)。監督はミュージカルの名手スタンリー・ドーネン。音楽はヘンリー・マンシーニ、衣装はご存知ユベール・ド・ジバンシーと以前にもオードリーと仕事をしているメンバーが(=彼女の魅力を熟知しているので)盛り上げる盛り上げる!
 

 共演には「ヒッチコック作品」でも御馴染みケーリー・グラント(う〜ん、ダンディ)を筆頭に「電撃フリント」ことジェームズ・コバーンウォルター・マッソーなど個性的かつ芸達者な俳優陣。グラントなど、一見信用できそうに見えて超怪しかったりもする(笑)。これらスタッフ、キャストが絶妙に絡みあってお洒脱にして、痛快な仕上がりとなった。


 先程「ヒッチコック・パターンの後継作」と書いたがーこれで連想されるのがブライアン・デ・パルマの諸作。但し、作品のモチーフや撮影テクニックを模倣するデ・パルマのアプローチとは異なり、作品自体が<軽妙洒脱>。ハラハラドキドキしながら笑ってミステリーを愉しむ娯楽作(デ・パルマは・・・ダーク)。


 余談だが「シャレード」の成功でドーネンはこのあと同様にミステリー「アラベスク」を作ったが・・・残念ながら「シャレード」は越えられなかった。ソフィア・ローレングレゴリー・ペック(彼もヒッチ作品に出た)はいい俳優だと思うが・・・<ユーモア>の面ではちと荷が重かったかな?
とにかく「シャレード」は筆者的に「未だ観ていない人が羨ましい1本(=これから観る愉しみがあるから)」である。必見!!