其の134:カンフー、カンフー&ギャグ「直撃!地獄拳」

 かの世界的大スター:ブルース・リーは一世を風靡したものの若くしてこの世を去った。当時、若者たちはリーに続く<アクション・スター>の登場に期待した・・・。その結果、世に送り出された和製カンフー映画東映の「直撃!地獄拳」シリーズ!!主演は千葉真一、そして監督は<キング・オブ・カルト>の異名を持つ故・石井輝男!勿論、<カンフー・ブーム>に便乗した事は言うまでもないが、これを観ずにいられるか!!

 
 物語は甲賀忍者の子孫・千葉ちゃん(カンフー&忍法使い)と元刑事の殺し屋(演じるのは佐藤允)、そして合気道の達人にして元死刑囚の3人が<元警視総監>の密命を受け(=報酬あり)、日本に外交特権を利用して麻薬を密売する<マフィア組織(=メンバーに津川雅彦!殺し屋のひとりに安岡力也!!)>を殲滅するーという素晴らしい内容(笑)。「Gメン」の香港編で活躍した倉田保昭大先生も加え、一大アクションをギャグもありつつ繰り広げる。

 
 千葉真一は「水とんの術」ほか忍法を使いつつ、ブルース・リーまんまのアクションを披露(いくら犯罪組織だからと言って、いきなり殺してしまうのもいかがなものかではあるが)!
更に「網走番外地」シリーズの監督でもあり、この映画では自ら脚本も担当した石井輝男が「異常性愛路線」でもみせた耽美的内容も加え(&音楽がすこ〜しモリコーネ入っていたりもする)一筋縄ではいかない異色娯楽作品に仕上がっている。海外では三隅研次監督が<マーシャルアーツ(=格闘技)>の巨匠として名高いが(あちらでも「子連れ狼」が上映されているので)、石井のこのコミカルなカンフーは、香港映画に影響を与えたとも言われている。


 続くシリーズ第2作「直撃!地獄拳・大逆転」は同じスタッフ・キャストを揃えたものの、ちとカンフーの度合いは低め。マフィア絡みの「宝石」強奪作戦などリーと言うよりはほとんど「ルパン三世」(笑)。しょ〜もないギャグ率は前作より高め(苦笑)。
その代わりジャッキー・チェン顔負けのアドバルーンを使った<空中戦>やクライマックスはマシンガンほか銃器まで入り乱れての<大ジェノサイド(=殺戮)>!!丹波哲郎の怪演や志穂美悦子(若い!)の華麗なアクションも堪能できる。ラストはー石井監督の作品歴を知る人ならすぐに分かる「楽屋ネタ」(笑)。


 アクション映画ファン、石井輝男ファンのみならず、かつて日本が制作していた<大娯楽巨編>をお楽しみ頂ければ、と思う。「もう泣かせ・感動系、漫画の実写化はもういい!」というアナタにこそお薦めする作品です。アチョー!!