其の130:上出来な漫画実写化映画「デスノート 後編」

 筆者は世代的にこれまで様々な「漫画の実写化映画」を観てきた。勿論、よく出来た作品もあるがー大半は無残な形で終わった(苦笑)。「デスノート the Last name」は待望の映画化第2弾!前作は大変面白かった。そして、この<続き>はー期待を裏切らなかった!


 「映画」は「原作」と異なり、主人公・月(ライト)と天才探偵Lとの<頭脳戦>に終始する。今回は前作の最後で「犯人逮捕」で手を組むことになった2人がお互いに裏の裏をかきながらー相手を出し抜こうとするスリリングな展開。で、今回は原作でおなじみのキャラクターが新たに大挙、登場(今回は映画用新キャラはなし)!原作の持ち味を活かしつつ、一部人物の設定を換え(これは前作にもみられた)効果を上げている(ネタバレになるので、「あらすじ」を書けないのがつらいところ・・・)。


 なによりも「脚本」がいい!特にラストの展開は全くの<オリジナル>。現場では「最後15分」の台本は別印刷で、ごく一部のスタッフ・キャストにしか渡されなかったとか。前作を観た時点で、筆者は原作を未読だったが、今回は全て読み終えた上で観賞したもののー「こう来たか!」と意外性があって(途中、心配したほど:笑)面白く「よく考えました」と誉めてあげたい。これならファンも納得だろう。


 主人公・月(ライト)を演じた藤原竜也とLを演じた松山ケンイチは共に熱演!全く原作のキャラクターと違和感なくなってきた(笑)。「動」の藤原と「静」の松山ーまだ20代の若き演技派ふたりの今後が楽しみである。脇を固める面々も今作ではかなり見せ場があって良かったと思う(前作は主人公たち以外のキャラがちと弱かった)。


 勿論、金子修介監督の泥臭い演出は健在(笑)。<映像面>ではー特に新しい事はやっていませんが、逆に物語をわかりやすく見せるための演出として好意的に評価したい。2時間20分もの長丁場を中ダルみさせずによく見せきった!特に前作は海外でもヒットしているそうでー「平成ガメラ」3部作に続く彼の新たな代表作になるだろう。


 「漫画の実写化」はこれまで<あくまでファン狙い>程度の作品が多く、一般の映画ファンからそっぽをむかれる事態を招き、それが邦画低迷の一因になったと思う。また近年、漫画の実写化が増えてきましたが(「三丁目の夕日」、「ハチミツとクローバー」、「NANA」、「タッチ」他エトセトラ・・・)きちんとした脚色と配役にそれなりの予算をあてれば<結果(=ヒット>はついてくると思う。また作り手が以前のような安易な方向に進まないことを祈るばかりだ。