其の123:伊製戦争アクション「地獄のバスターズ」

 そろそろブルース・リー御大の「燃えよドラゴン」や大傑作インド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」、ツイ・ハークの「ブレード/刀」を考えたのですがー例によって止めて(笑)、イタリア製戦争アクション大作「地獄のバスターズ」を。邦題から連想するであろう「ゴースト・バスターズ」とは何の関係もありません。「クエンティン・タランティーノがリメイクを予定している」とDVDのジャケットには大々的に書かれていますが・・・これについての説明は後ほど!


 物語の舞台は1944年、戦時下のフランス。駐留しているアメリカ軍内では犯罪を犯した兵士を裁判にかけるための移送が行われていた。その時、ドイツ軍と遭遇!上手いこと騒ぎに乗じて「5人の兵士」がスイスへの逃亡を図るー。が、ひょんな事からドイツ軍の軍用列車から「新型V2ロケット」のジャイロスコープを奪取すべく極秘任務を開始する事となるー!!


 「ならず者の兵隊が活躍する戦争映画」−映画通なら、ロバート・アルドリッチの「特攻大作戦」を誰しも思い浮かべるだろう(笑)。おそらく<とっかかり>だけはまんざら間違っていないように思われる。というのは監督が・・・エンツォ・G・カステラッリ!!
60年代にはフランコ・ネロと組んだ<マカロニ・ウエスタン>で名を馳せ(代表作「ケオマ」)、その後はB級娯楽作を連発!「禁じられたデカメロン」、「人間解剖島/ドクター・ブッチャー」、「特攻警察」ほか・・・みなどこかで聞いたような映画ばかり。観なくても内容が推察できる(爆笑)。要は、どこからかの引用系であるからだ。


 同様に内容もー様々な映画からヒントを得ている気がする(苦笑:勿論、全てがパクリではないだろうが)。冒頭のクレジット・アニメは「マカロニ〜」時代からさんざん使い回されて来たパターン。また物語の前半「逃亡した5人」は「脱走兵のドイツ兵」を捕虜にし、スイスまでの道案内をさせるのだがーこのドイツ兵の方が理性的!これはヒッチコックの「救命艇」にも見られた設定。
そしてレジスタンスが軍用列車を襲撃するシーンでは、延々とスローモーションが・・・。誰がどう観てもサム・ペキンパー!!これは言い逃れできまい(笑)。ただし「本家」と違って今作はー兵士のひとりが「一瞬にして」看護婦と恋を成就する爆笑シーンや、物語には何の関係もない「女のヌード」など観客サービスも満点!!B級でありながら、かなりの数の車両やエキストラも投入し、セットも凝っている。気軽に楽しめる快作アクションです(ホント)!!


 さて、今作を「タランティーノがリメイク予定」というのは厳密に言うと間違い。実はこの作品のタイトルを<無断流用>した「第2次大戦もの」の脚本を書いていたのだが・・・展開に詰まって投げ出した(笑:まんまリメイクだったら、こうはならない)。そんな時にユマ・サーマンと再会しスタートさせた映画が「キル・ビル」なのだ。よって、<後回し>にしたこの企画が実現するかはいなかは・・・誰もわからない(笑)。