其の120:俺は面白かった!「デスノート 前編」

 大ヒット漫画の実写映画化「デスノート」。2部作中のこの1作目は大ヒットし(邦画では珍しい試み)、まもなく「後編」も公開となります(2006年10月現在)。
本当は「欧州帰り」なので(笑)一瞬トリュフォーとかを書こうかな、とも思いましたが気が変わって旬の邦画にした次第。異論反論もあるかと思いますが、筆者は面白かったっす!


 物語はーご存知だとは思いますがー死神リュークがわざと落とした、名前を書きこむとその人物が死ぬという「デスノート(まんまやんけ)」を拾った夜神月くん(「月」と書いて「ライト」と読む)が、正義の悪人退治を開始!悪の抑止力として「キラ」なるあだ名を拝命、日夜頑張るが「天誅」「自業自得」といえどもその行為は<殺人>。
やがて警察も捜査に動き、世界中の警察をも操れる天才少年探偵・通称Lが登場!キラに宣戦布告する・・・。


 あらすじや設定、登場人物のネーミングからしても漫画(笑)。だが映画「逃亡者」同様、こういう<知恵比べ(=頭脳戦)>を描いた作品は、観ながら<ストーリーを推理する愉しみ>がある。筆者は職業柄、ヒット作は極力チェックするようにしているが、この映画を観る時点では原作は未読な上、実は大して期待していなかった。
 それこそ漫画の実写化は、これまで何百本とあったし(=そして「外す」)、「バットマン」や「スパイダーマン」のように巨額の予算を使わないとチャチくなる事が分かっているからだ。
案の定、「死神」のCGは「プレステ2」並だし(笑)、主人公の乗るバスでのエピソードではまわりに他の車が走っていない・・・という「道路使用許可関係」による日本映画のダメな部分、金子修介監督特有の泥臭い演出部分など問題は多々あるのだが・・・原作のストーリーの妙もあってー全く先が読めなかった!
後から膨大な原作を読んだけれど、過不足なく漫画を処理。部分部分によっては漫画を越えてる部分も。また「オリジナル・キャラ」もうまくストーリーに絡ませ、物語を膨らませることに成功している。脚本家、えらいっ!

 
 俳優陣も各キャラクターになりきっていたと思う。「正義」で始めた<処刑(=殺人)>が、やがて自分の身を守る為の行為に変質する<皮肉>。そんな矛盾した主人公に扮した藤原竜也のクールな演技は必見!
特筆すべきは「L」に扮した松山ケンイチがー漫画そっくり(笑)。「後編」での彼の怪演が今から楽しみでもある。


 「後編」にあたる「デスノート the Last name」は漫画と大きく離れ<月とLの頭脳戦>に終始、オリジナル色が強くなるそうな(原作読んでると、そうなるしかないのは良くわかる)。特に「ラスト15分」にあたる部分の台本は「別刷り」されて一部の関係者にしか配られなかったという。まぁ、オチは「ああなるしかない」が・・・さて、どうなりますか?
ちなみに筆者は放送中のアニメも欠かさず観ております(これは「漫画」通り。なんと死神リュークの声は映画同様、中村獅童が担当)。
漫画、映画、アニメ・・・「デスノート」はそれぞれ楽しみ方があるのだ!!