其の110:バーホーベンのオランダ時代異常作!

 2006年の「ベネチア映画祭」で、ポール・バーホーベン監督の新作が上映されたとの事で、日本での公開が楽しみな限り(「日本未公開」になったりして:笑)。
ポール・バーホーベンといえば大ヒットした「ロボコップ」やシャロン・ストーンをスターにした「氷の微笑」で知られるエログロ・バイオレンス監督ですが(笑)、彼はハリウッドに進出する前は祖国オランダで俳優ルトガー・ハウアー(「ブレードランナー」「ヒッチャー」)、カメラマンのヤン・デ・ボン(今じゃ「スピード」で知られる監督様)らと組んで<異常な映画>をバンバン作っておりました(笑)。その<問題のオランダ時代最後>の異常傑作「4番目の男」を紹介します!


 物語の主人公(演ずるはジェローン・クラッベ)は、バイセクシャルでアル中の作家。おまけに万引きしてバレると逆切れするとんでもない男(笑)。彼は時々、「予知夢」とも言うべき幻覚を見ることにしばし悩まされていた。そんな彼の下に地方から講演の依頼があり出かける事となる。
 無事、講演を終えた彼は主催者でお金持ちのミステリアスな女性(レネ・ソーテンダイク)とあっさり一夜を共にする。すると彼女にはドイツに住む若いツバメがいた。写真を見て、そのマッチョなボディに欲情した作家は(笑)、彼女をそそのかして彼をドイツから呼び寄せ、虎視眈々とモノにするチャンスを狙うー。
そうこうしている内、実は彼女には過去3回の結婚経験があり、その全員が事故死している事実を知る・・・。


 <ヒッチコック風ミステリー>に<リンチ風悪夢的テイスト>を加味したお話。勿論、お得意のエログロも満載です(笑)。「ミステリアスな女に翻弄される男」という意味では、後の「氷の微笑」のルーツと言ってもさしつかえないだろう。
「血」、「キリスト像」、「蜘蛛」、「ノーカットのエロ本」・・・ほかバイオレンス&セックスを連想させるアイテムやまんまのシーンが満載!これぞホントの「神をも恐れぬ所業」(笑)。


 主人公の作家役にはーこれまた後にハリウッドに進出するジェローン・クラッベ(「逃亡者」、「不滅の恋/ベートーヴェン」)。開巻早々、フルチンで登場。何故か黒いブラジャーで同棲相手の男の首を締めたりする(爆笑)!!この他にも、凄い描写が多々ありますのでー是非、ご自分の目でお確かめ下さい(家でひとりで観ましょうね)。


 この作品は国内外で(何故か)高く評価され、御大のハリウッド進出のきっかけとなりました。
 にしても・・・ハウアーやヤン・デ・ボン、クラッベほか続々とハリウッドに進出。バーホーベン先生がその一端を担った事は疑う余地はなかろう。その「実力」が、この「4番目の男」にも観られる事は言うまでもない。