其の106:傑作ドイツ映画!「トンネル」

 アメリカ映画「大脱走」は主人公たちのトンネル堀り+逃走劇を楽しめる傑作だが、ドイツ映画にも同様の「トンネル堀り映画」の傑作がある。2001年度作品「トンネル」がそれだ(まんまやんけ)。先述の「大脱走」同様、時代は違えどコチラも「実話の映画化」である。


 1961年8月13日、東西ドイツ・ベルリン。この日、「ベルリンの壁」が出現!それまで往来できた道は遮断され、家族や恋人たちはいやおうなく引き裂かれた・・・。
 <東ドイツ>の水泳チャンピオン・ハリー(ハイノー・フェルヒ)はかねてからの計画通り、自由を求めて偽造パスポートで<西ドイツ>に脱出する。すぐさまハリーは仲間たちと共に今度は愛する家族を西側に脱出させるため、決死のトンネル堀りを開始するのだが・・・。


 悪条件の中、秘密裏に行われる「トンネル堀り」の様子+不正脱出を阻止すべく奔走する「東ドイツ国家保安局」との攻防。まさにハラハラドキドキ!
 勿論、主人公を本来の「陸上選手」から「水泳選手」に変更するなど多少の<脚色>はあるのだが(主人公とおねーちゃんの台所でのセックスは当然創作だろう・笑)このテの作品に必要不可欠なサスペンス場面(穴がくずれそうになる、情報が洩れそうになる他)と登場人物たちの心理描写(愛、友情、焦り、葛藤・・・)が絶妙にブレンドされていて長尺(3時間弱)ながら全くあきさせない。


 今作最大の見せ場は言うまでもなく「トンネル堀り」。これは撮影用に片側が外せる巨大セットを建造して、カメラ位置を変えながら何日もかかってその行程をカメラに収めたそうだ。考えるに、この撮影自体も・・・かなり大変だ(苦笑)。スタッフ・キャストの苦労が偲ばれる。


 監督はTVドラマも手がけるローランド・ズゾ・リヒター。緻密かつパワフルなドラマに仕上げている。同じドイツ出身の監督ローランド・エメリッヒ(「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」)とは「名前」も一緒だが・・・大分資質は違う(笑)。
映画の「トンネル掘り」はよく泥棒とかスパイが使う手段だが(「黄金の七人」とか)、「潜水艦映画にハズレなし」と同じく「トンネル掘り脱出映画にハズレなし」の格言を加えてもよいのではないか(まぁ、そんなに作品数は多くないと思うけど)?

 
 さて、主人公たちの計画は無事、成功したのか否か!?それはアナタ自身の目でお確かめ下さい!