其の104:最狂のマカロニ!「情無用のジャンゴ」

 現在、2本の戦争映画を同時製作中のクリント・イーストウッド御大だが、その彼がブレイクしたきっかけはセルジオ・レオーネによるイタリア製西部劇「荒野の用心棒」である事はご存知の通り。
「イタリア製西部劇」−いわゆる「マカロニウエスタン(欧米ではスパゲッティ・ウエスタンという)」は残酷描写、荒唐無稽な設定&物語、ケレン味たっぷりの派手な音楽で一世を風靡したジャンルだが、その中でも最も異常な作品が「情無用のジャンゴ」!余りのもの凄さになんと「18禁」である。おまけに・・・「ジャンゴ」という人物は登場しない(爆笑)!


 「物語」はアメリカ・南北戦争当時。「北軍」の所有する金塊を奪うために強盗団に参加した主人公(=トーマス・ミリアン)が親分に裏切られ銃殺される。ところがインディアン(=放送禁止用語)によって墓場から甦る(笑:んなバカな)!かくて、他のマカロニ同様<復讐>のため、主人公は強盗団を追うのだが・・・。


 マカロニのいい加減さが満載!「娯楽西部劇」というよりは「猟奇性漂う怪作」と呼ぶ方が適切な本作。全編がマカロニの売りのひとつ<残酷描写>がテンコ盛り!以下、当時の日本の配給会社が煽りに煽ったポイントを列挙。

 ①:「腹部を切り裂き、黄金の弾丸を奪い合う!」
 ②:「生きたまま逆さ吊りの大量虐殺リンチ!」
 ③:「生きたまま頭の皮をはがす!」
 ④:「ダイナマイトを馬につけて敵中突破!飛び散る死体と馬のハラワタ!」
 ⑤:「溶けた黄金を浴びる!」
 ⑥:「自分で掘った穴に生き埋め!」など


 これらの<内容>は・・・全部、本当にあります(苦笑)。「馬のハラワタ」なぞ、もろどアップ!食事しながらとても観られる代物では御座いません(笑)。
 この異常作を監督したのは「イタリアの石井輝男(筆者命名)」ことジュリオ・クリスティの初監督作。第2次大戦中の自身の経験を反映させたとの事ですが、次作「殺しを呼ぶ卵」では現代劇ながら同様に妙チクリンな作品なので・・・きっと、そういう<資質>の持ち主に違いない(笑)。


 我が日本で発売されている「情無用〜」のDVDは、なんと<完全版>!是非、購入して頂いてこころゆくまで堪能して頂きたい(笑)。