其の103:野郎共、戦え!「ファイト・クラブ」

 100本を越えて、段々このブログも<真面目な作品>を扱うようになってきました(笑)。かつてヤンキー漫画を愛読していたような野郎たち愛好作の1本「ファイト・クラブ」であります。
監督は「セブン」デビッド・フィンチャー。出演は同じく「セブン」に出ていたブラッド・ピットに若き名優エドワード・ノートン。民放某局の番組で後にヤラセがバレた「人気コーナー」の元ネタでもあります(笑)。


 主人公兼ナレーター(=ノートン)は何気に稼ぎのあるヤンエグ(死語)。重度の不眠症に襲われていたそんな時、タイラー・ダーデン(=ブラピ)なる石鹸を売るセールスマンと出会う。それを機にふたりは悪さをしつつ(笑)、「生きている」事を実感するため素手で男たちが殴りあう地下組織「ファイト・クラブ」を結成!メンバーを増殖させてゆくのだが・・・。


 この映画のCMが危ないとか、ブラピとねーちゃんのセックスシーンが実はCG合成だったとか(笑)、内容以外にも色んな意味で話題になったこの作品。ノレる人はノレます。どうみても痛そうですが(苦笑)。この映画でブラピとノートンを兄貴と慕う人も多いはず(笑)。

 
 ・・・こう書くと単なる「暴力礼賛映画」かと思われそうですが、その実「消費社会の批判」「アイデンティティーの確立」ほか隠れたテーマがいくつも内在しています。また、実は後半怒涛の展開をみせるある意味、サスペンス映画だったりもするのだから、一筋縄ではいきません!
「脚本の妙」と「俳優陣の奮闘ぶり(ブラピやノートンは実際に肉体を絞った)」、そしていつものようにCGを駆使しつつスタイリッシュな映像を作り上げたフィンチャーによる<三位一体>の賜物でしょう。「パニック・ルーム」以来の新作が来年、公開予定のフィンチャーです。期待して、その完成を待ちましょう。


 最初に発売されたDVD(プレミアム・エディション版)の本編を再生すると冒頭、以下の<警告文>が出てきます。これがこの映画の全てと言っていいかもしれない。・・・勿論、PTAは眉をひそめるだろうけど(笑)。
「お前がこの無駄な警告を読む1秒1秒、お前の大切な時間が奪われているんだ。部屋を出ろ!異性に会え!過剰消費もオナニーもやめろ!仕事を辞めろ!ケンカしろ!自分が生きていることを証明しろ!自身の人間性を主張しないと、腐敗している有機物でしかない。警告したぞ!」

 う〜ん、男なら素直にこれに従ってみたいが・・・実際にはなかなか難しいぞ(苦笑)。