其の100:驚愕の実話(笑)「エド・ウッド」

 ラス・メイヤーの「ワイルド・パーティー」に始まり、記念すべき100回目が「エド・ウッド」とは・・・我ながら、いい趣味してると思う(笑)。エドは<史上最低の映画監督>と呼ばれるいまや大物カルト監督(笑)。
ティム・バートンジョニー・デップのコンビ作(「シザーハンズ」に続く2本目)でもあり、敬愛する某映画評論家先生のペンネームの元ネタでもある。


 1950年代のハリウッド。エドワード・D・ウッド・ジュニアー通称<エド・ウッドジョニー・デップ)>は舞台の演出をしたり、撮影スタジオで下働きをしながら、いつの日か映画監督になる事を夢見る映画青年。そんなある日、彼に耳よりな情報が!性転換した男性の話が映画化されると知り、プロデューサーに自らを売り込む。「これを映画に出来るのは僕しかいません!」−実はエドは女装マニアだったのだ(笑)。こうして主演(!)、脚本、監督としてデビューを飾るも・・・彼には全く才能がなかった。結果は「お蔵入り」。それにもめげずエドは往年のドラキュラ俳優ベラ・ルゴシマーティン・ランドー)と共に<情熱>だけで次々と怪作(駄作ともいう)を監督してゆく・・・。


 「映画」が誕生して早1世紀を越えたが、映画化された実話や偉人の伝記は数多くあれどーこんなダメ人間の実話が取り上げられたことは、かつてなかっただろう(笑)。それだけ考えても監督したバートンは偉い(笑)。
そしてジョニー・デップ。いまや「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで人気絶頂の彼だが、イケメンなのに今作では「女装」まで披露!後の「ラスベガスをやっつけろ」では「ハゲズラ」までつけて役になりきったジョニー。「性格俳優」、「個性派俳優」の面目躍如である。


 ちなみにこの映画公開後、筆者は実際にエドが監督した史上最低作「プラン・9・フロム・アウター・スペース」を観ましたがー思っていたよりはチャンとしてました(笑)。本編にも、この作品の制作エピソードが描かれていますがー確かに円盤が車のホイールだったり、セットがちゃちい、いきなり昼から夜になるとか(爆笑)どこぞの文化祭の「自主映画」だと思えば腹も立たず、笑って観られました(でも、それはプロの仕事ではない)。


 映画「エド・ウッド」はバートンとジョニーが<全くセンスがなく、成功を手に入れることなく亡くなった不遇の男>を愛情を持って描いている。彼の周りの人間は一癖も二癖もある怪しい人間ばかりなのだが(端からみると「ギャグ」)、現実をみてみれば決して成功している人間ばかりではない。日本でも「上流」と「下流」の二極化が進んでしまっている・・・。
エドの不幸は先天的に映画を作る才能がなかった事とそれを自分で悟れなかった事だがー彼の「情熱」と「努力」は尊敬に値する。例え実現出来なかったとしても、見果てぬ大きな夢を見ながら生きてゆければー人間、最高じゃないか!