其の101:日本は平和だ・・・「ホテル・ルワンダ」

 ・・・久々の更新です。私自身が病で倒れたのと時を同じくしてPCもダウン!おまけに「お盆」だったものですからーなおさら復活に時間がかかってしまいました。
で、復帰第1弾は衝撃の実話の映画化「ホテル・ルワンダ」であります(一瞬、同じく実話の映画化スピルバーグ監督作「ミュンヘン」も考えたのですが、トータルの完成度はこちらが上だと思うので)。映画としても傑作であり、とりわけ平和ボケした日本人は必見の一作だと思います。


 1994年、中央アフリカルワンダ。植民地時代に端を発するフツ族ツチ族の対立が、大統領暗殺をきっかけに激化(大統領の死をツチ族による暗殺だと、「フツ至上主義者」たちが勝手に決め付けたため)!多数派のフツ族ツチ族を一掃すべく民兵を組織、惨殺を始めた。フツ族でホテル支配人のポール(「オーシャンズ11」のドン・チードル)は、ツチ族の妻や子供を守るためホテルに避難する。国連軍も手出しできぬ混乱の中、やがてホテルには人々が殺到。ポールは彼らの命を救うため<ホテルマン>のノウハウを駆使して命懸けの戦いを始める・・・。


 約1300人の命を救い「アフリカのシンドラー」と呼ばれた主人公の<孤独な戦い>を描いた本作は2005年度のアカデミー賞・3部門にノミネート。
ところが「内容と俳優が地味すぎる(ニック・ノルティジャン・レノ、「グラディエーター」のホアキン・フェニックスも出てるぞ)」との理由で日本では公開のメドが立たず、映画ファンを中心にネット上で署名活動を展開した結果、ようやく上映にこぎつけたーという泣けるエピソードがある(渋谷で筆者が観に行った時は超満員。日本の映画ファンも捨てたもんじゃない!)。


 フツ族民兵による<ツチ族大虐殺>はルワンダ全土に及び、約3ヶ月で100万人が死亡。300万人が難民となった。その後、ツチ族が首都キガリを制圧。ようやく虐殺は終結する。
 当時、この事件は日本はおろか世界で大々的に報道されることはなかったー国益にかなわない、遠い、貧しいアフリカの一小国のことを世界は見捨てたのである(こういう事実を知ると「人命は地球より重い」という名言も詭弁に思えてしまう)。

 
 日本もいろいろあるがーこの映画を観るとまだまだ<平和>だとホッとしてしまうのが正直な感想。だが、決して対岸の火事ではない。<次期総理候補と思しき人物>は、かつての軍国主義を復活させるかのような「教育」を声高に叫んでいる・・・。
我々日本人も世界と、そしてわが国の行く末をしっかり監視せねばならない時期に来ているのではないだろうか。