其の98:お暇なら観てよね「シー・オブ・ラブ」

 ハロルド・ベッカー監督、アル・パチーノ主演のサスペンス映画「シー・オブ・ラブ」。あまり取り上げられる事のない映画のひとつだがーこれは面白い!パチーノは「ゴッドファーザー」シリーズが圧倒的に人気だが、こんな隠れた<名品>もあるのだ。

 
 ニューヨークで男性ばかりの連続殺人事件が発生。現場には常に「口紅のついた煙草」と「古いレコード」が残されていた。どうやら犯人は広告を通じて被害者と知り合った<女性>のようだ。そこで刑事フランク(パチーノ)は相棒(ジョン・グッドマン)と囮捜査を開始。そこで出会った魅惑的な女性・ヘレン(エレン・バーキン)にフランクは次第に魅かれてゆく。彼女が容疑者である事を知りながら・・・。


 ・・・まぁ、筋立ては昔からよくあるパターン!で、<仕事一筋のモーレツ刑事>という設定もアル・パチーノお約束の役柄。マイケル・マンの「ヒート」とまるで同じ(笑)。だが、そのくたびれっぷりといい彼が人間臭くてよいのですな、これが(さすが演技派)。
 で、相手役のエレン・バーキンがエロくて、こちらもいい(笑)。ちょっとキャメロン・ディアスに似てると思うのは筆者だけかしら(金髪なのも共通しているのだが)?
 

 ストーリー、そして設定だけ見るとー大ヒット作「氷の微笑」と瓜二つなのだが(個人的にはこれも好きですけどね。脚本は穴だらけだけど)、あちらほどエロくもないし、どぎつくもない。ほどよいサスペンスとユーモアがあって、ドキドキしながらも二人のやりとりについニヤニヤしてしまう。こんなサスペンス映画はヒッチコック作品以外、そうはない。


 ベッカーは、この他にもサスペンス映画を手がけていますが、私見では今作がベスト。特に「ラストシーン」のパチーノとバーキンの会話(ネタバレになるので、詳しくは映画を観てちょ)は絶妙!
よく「脚本と配役で、映画の出来は90パーセント決まる」と言われるが、まさにその言葉をまんま実証したような作品である(といって監督の演出力をないがしろにしているわけではありません)。
ジュリアン・ムーア主演の「フォーガットン」やシャマラン監督の「サイン」のような<トンデモ>オチではありませんので、安心してお楽しみ下さい(笑)!