其の87:マイケル・チミノは何処いった??

 一瞬、ウォン・カーウァイピーター・グリーナウェイの作品を考えたのですが止めて(笑)、最近なにしてるか分からない映画監督を<発掘>しようかなと。その第1弾(笑)としてマイケル・チミノを。脚本家からスタートし、言わずとしれた傑作「ディア・ハンター」を放った御仁である。
 「ディア・ハンター」はアカデミー作品賞を受賞した<ベトナムもの>。日本に「ロシアン・ルーレット」を広めた功績もある(笑)。ちなみにタイトルは「鹿追い人」の意。「親愛なる狩猟人」ではないので念のため(笑)。
 <超有名作>なので詳細なストーリーは省くが、約1時間もの間ー延々とロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンメリル・ストリープらの結婚式ほか青春譚があったと思いきや、唐突にベトナム戦争真っ只中のジャングルに変わる脚本の妙!この<衝撃的な場面転換>はキューブリックの「フルメタル・ジャケット」にも影響を与えたものと思われる。
 デ・ニーロの名演はさることながら、今作では「ロシアン・ルーレット」の影響で精神に異常をきたすウォーケンの表情が忘れられない。「ベトコン(これって、いま放送禁止用語?)」の描き方が酷すぎると非難もされたが、ズシリと心に重くのしかかる傑作だ。

 
 で、これで偉くなったチミノだが、次作「天国の門」は記録的大コケ(笑)。結果、某メジャー・スタジオを倒産に追い込む始末。その為に数年間、干された結果ーバイオレンス映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」で復活する。
 全盛期のミッキー・ローク(今は妙に太ってしまったが、この時は超カッコイイ)扮する警察官がチャイニーズ・マフィアのドン(=「ラスト・エンペラー」前のジョン・ローン!)を相手に死闘を繰り広げる痛快娯楽作(脚本はあのオリバー・ストーン)。
 ちょっと<ラスト>はーネタバレしない範囲で書くと・・・男的に<おいしい>と言おうかー女性からは怒られそうなオチで終わるのが難といえば難だが(笑)、これは面白かったですよ。
 
 その後、何本か監督したものの(但し、独立系スタジオ作)、皆あまりパッとせず沈黙してしまったチミノ。心から早いお帰りをお待ち申し上げるでごんす。