其の78:掘り出し物映画「タイム・アフター・タイム」

 筆者は作品を<厳選>しているのでーなんでも書けばいいタイプの映画ブログと異なり、その生みの苦しみには想像を絶するものがある(苦笑)。例えば「ブルーベルベット」とか「ビデオドローム」辺りでいいならすぐに書けるけれど、それでは自分が面白くない・・・。今回は将棋並の長考の末・・・SF映画「タイム・アフター・タイム」を紹介します!

 19世紀末のイギリス。発明家でもありSF作家として著名なH・G・ウェルズマルコム・マクダウェル)が<タイムマシン>を発明する!そのマシンを使って、これまた著名な殺人鬼「切り裂きジャック」が現代に逃亡!!ジャックを追ってウェルズも現代へいってみると・・・!?

 
 近年、リメイク映画も公開された「タイムマシン」の著者ウェルズ(実在の作家です!)と「切り裂きジャック(こいつも実在。但し、事件は迷宮入りしたので正体は未だ不明)」が絡むというアイデアが何といっても秀逸!時代のギャップを生かしたギャグや現代批評も盛り込まれ、非常に豊かな作品となっている。
決して<大作>ではないのだが(世の中には金がかかっている=面白い、と安易に考える輩が多い)、こういうナイス・アイデアの映画は本当に面白い。ピーター・フォンダの「悪魔の追跡」といい、<B級>にこそ掘り出し物は多いのだ!

 主演のマルコム・マクダウェルは、映画オタク的には「時計じかけのオレンジ」の超メジャー俳優!彼のプロフィール上の最高作は勿論「時計じかけ〜」だが、この作品では落ち着いた演技を披露。いい味出しています。ヒロインには「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」、「フィラデルフィア」のメアリー・スティーンバーゲン。マルコムとはこの作品の共演が縁で後に結婚したのだが・・・マルコムがこの後、底抜けエログロ超大作「カリギュラ」に出演した為(笑)当初、彼女の両親が彼を<ポルノ男優>だと勘違いし、結婚を許さなかったというオチあり。

 絶対に観る映画を外したくない、という方にはマジでお薦め!時代は違うが同じSF作家アイザック・アシモフの有名原作を無理矢理アクションにした映画「アイ,ロボット」やリアリティ0の「ザ・コア」で時間を無駄にするより遥かにマシだ(笑)。