其の71:日本が誇るカルト映画、それが「真田風雲録」

 かのフランソワ・トリュフォーも絶賛した裕次郎の「狂った果実」とか今村昌平の「神々の深き欲望」、大島渚の「青春残酷物語」とかを考えましたがー全てやめて(笑)、知る人ぞ知る怪作「真田風雲録」をチョイス!主演は中村錦之助萬屋錦之介)。タイトルでお分かりのように<真田十勇士>の映画である。その錦之助が演じるのが超能力を持った猿飛佐助(笑)。時代劇にミュージカルをミックスした「早すぎた大娯楽作」といえよう。これぞ石井監督、三池監督以前の日本の<カルト映画>だっ!!

 徳川と豊臣の戦いが未だ継続していた頃ー。戦場泥棒のお霧(霧隠才蔵が女の設定に!演ずるは渡辺美佐子)らは超能力を持つ不思議な男・猿飛佐助(錦之助)をリーダーに大阪城へ向かう。彼らを迎え入れた真田幸村(「七人の侍」で知られる千秋実)は、メンバーを2人加えて<真田十勇士>を結成する。一同は服部半蔵平幹二朗)らと忍術合戦を繰り広げつつ「大阪冬の陣」、更に「夏の陣」へと突き進んでいくー。

 簡単に言えばハチャメチャな話(笑)。真田幸村は史上最強の情けなさだし(笑)、刀の代わりにギターを使うと敵が踊り出す等、遊び心が満載!この映画が東映任侠映画で一世を風靡した名称・加藤泰の監督作品だとは・・・仏様でも気付くまい(笑)。ただ、この作品にもそれまで同様、加藤はこだわりまくり得意のローアングルを連発(カメラを低く構えるため、現場に穴を掘りまくっては埋める作業を繰り返した)!ミュージカル・シーンでもアフレコではなく「同時撮影&録音」を徹底して行った。
 その結果、製作日数(と予算)は予定をはるかにオーバー!おまけに不入りだった為、加藤はしばらく仕事を干されるオチまでついた(苦笑)。だが、リバイバル上映からこの作品の面白さが見直され、大予算&豪華出演陣によるカルト映画となったのであるー。ちなみに俳優・根津甚八の芸名は「真田十勇士」に由来する(トリビアよ)。DVDソフト化希望!