其の69:ガンダムの元ネタ「スターシップ・トゥルーパーズ」

 原作はロバート・A・ハインラインの同名小説(邦題「宇宙の戦士」)。ここに出てくる<パワード・スーツ>を発展させたのが、ご存知「機動戦士ガンダム」の<モビルスーツ>である(「クラッシャージョウ」シリーズの原作者・高千穂遥氏が富野監督に小説を勧めたそうな)。ところが鬼才ポール・バーホーベンは肝のパワード・スーツ抜き(!!)で恐ろしいSF戦争大作を創り上げてしまった!あくまで「洒落」の分かる人は必見!!

 突如、勃発した人類と巨大昆虫型エイリアン(通称・バグズ)の恒星間戦争を背景に、主人公ジョニー・リコを中心とした若き男女の愛と成長が描かれるーのは原作と一緒なのですが、バーホーベンはあくまでバグズにこだわった(それに莫大な予算が掛かったため、パワード・スーツは予定を変更してナシになった)!「ロボコップ」でもコンビを組んだフィル・ティペット御大がその力量を遺憾なく発揮。バグズが人類を血祭りにあげてゆく!

 「これは砂糖菓子のような甘い映画ではない。」バーホーベンが公言する通り、兵士たちは「何故、バグズが戦いを挑んできたのか?」という根本的な疑問も教えられず、戦闘に駆り出されてゆく。そして、彼らの圧倒的な戦闘能力によって、次々と無残にも切り刻まれてゆく(ちなみにバグズの生態系は一切不明・笑)。上官も友人も、そして恋人さえも。実は第2次大戦当時、欧米人は我々<日本人>を猿や虫に例え、知性や品格もない人種と考えていた。そうーバグズのモデルは、実は日本人なのだ!ハインラインの小説はいわば「SF版第2次世界大戦」なのである。そう考えて、この映画を観ると複雑な気分だ。もっともバーホーベンはオランダ人であり、むしろ彼の憎悪はナチの方へ向けられているのだが・・・。
 ちょっと固い事を書きましたが、映画はあくまで娯楽!ラストは腰砕けだが(笑)楽しめますよ!ちなみに「スターシップ・トゥルーパーズ2」はフィル・ティペットが自ら監督!新たなバグズが登場します。またオール3Dのアニメシリーズも出ているので、ファンになった方はそちらも是非(なんと製作総指揮がバーホーベン)!!

 ・・・このブログ、粗筋やネタ書くようになったから最初に比べて段々長くなってきました。これは時の流れによる変化か、はたまた筆者の気まぐれか?!