其の67:「ギャング映画」の傑作はー!

 「ギャング(あるいはマフィア)映画」といって、すぐ頭に浮かぶのはフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」シリーズだろう。全3作あり、「1」と「2」はシリーズ初のアカデミー作品賞連続受賞の<偉業>でも知られている。
先日、筆者は3本観直す機会があったのだがーやはり「1」が一番良かった!なによりマーロン・ブランドの<存在感>が圧倒的である(ちなみにタイトルは「名づけ親」の意。まんま「神の父」ではないー念のため)。映画史に残る傑作だ。
「2」も勿論良い出来だし、ロバート・デ・ニーロの演技も大したものだがーやはりブランドには一歩劣る。おまけに<過去>と<現在>を交差させる構成をとった事で、跡目を継いだアル・パチーノの<苦悩>にいまいち感情移入しづらい難点がある(すぐ過去に話が戻る)。「3」は残念ながらー「蛇足」でしかなかった(ファンの方、申し訳ない)。

 そんな「ゴッドファーザー」に公然と反旗を翻したのがマーティン・スコセッシ監督!「ゴッドファーザー」はマリオ・プーゾの原作付き(モデルあり)だったが、ニューヨークの下町で実際のマフィアの動向をみてきたスコセッシは「実際のファミリー(組織)はあんなに美しいもんじゃない!」とばかりに、徹底的にリアリティを追求して演出したのがー「グッドフェローズ」だ。

 これは<マフィア>に憧れるもイタリア・シシリア島出身でないため、ファミリーには入れない<準構成員>の若者が司法取引に応じて組織を売り、執筆した本を映画化したものである。これを読んだスコセッシは原作の余りの面白さにー異例の脚色だがーどのエピソードもカットせず、その時その時のヒット曲を流して<数珠つなぎ>でストーリーをつなぐ事にした!その結果、エピソードの数々がハイスピードで展開してゆく事になる(盟友デ・ニーロも出演)。この斬新なスタイルといい、これは本当に面白い!!
 「ゴッドファーザー」の重厚さを採るか、「グッドフェローズ」のリアリティを採るか?選択は個人の自由だが<2本>合わせて観るとーよりギャング映画が愉しめると思う。