其の54:今こそ観るべき映画!「日本沈没」

 一時期、第2次ブームだったのかどうかは不明だが<ディザスター・ムービー(災害映画)>が多数公開された。火山帯でもないのに何故かロスが噴火する(笑)「ボルケーノ」、「ダンテズ・ピーク」。一気に世界が氷河期となる「ザ・デイ・アフター」。漁師が大波で死ぬ様子を描いた「パーフェクト・ストーム」等々・・・。さらに第1次ブームを牽引した「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイクもまもなく公開される。
 そして我が国も33年ぶりに小松左京原作「日本沈没」のリメイクが今年、大公開!!勿論、ここで筆者が薦めるのは「オリジナル版」の方だ(リメイクは当たり前だが未見。そういえば当事、映画だけでなく連ドラも観た覚えが・・・)。最近、テレビの特番でよく首都圏に大地震が起こった場合のシミュレーションを放送しているが、それを踏まえて今作を観るとテーマも含めて意義深いものがある。その分、<爽快感>は求めないように!
 製作は東宝!70年代、東宝はこの映画の他、危ない描写でソフト化不可能作といわれる「ノストラダムスの大予言」等、<大型パニック映画>を量産していた(笑)。このテの映画のお約束<苦悩する政府首脳(総理は丹波哲郎!)>と<頑張る民間人(初代仮面ライダーこと現代のサムライ:藤岡弘)>をメインに世界中を巻き込んで展開される人間ドラマを森谷司郎監督が正攻法に演出(=悪くいえばベタ・笑)。
 その合間を「ゴジラ」の特撮スタッフがこれまでに培った技術でー大地震、大津波の天変地異を筆頭に人々を襲う国土崩壊の様子が容赦なく描かれる(勿論、崩壊する建物は全て模型)。リメイク版は最新CGを駆使するようなので、破壊描写を比較して見るのも一興。
 ラスト前、小林桂樹扮する科学者が語る台詞が意味深!「(日本人を諸外国に避難させて)それが、良かったのか、悪かったのか・・・。」とかく海外で<エコノミック・アニマル>等と揶揄される日本人ではあるが、そのアイデンティティーを確認するのにも(それがテーマ)最適な作品ではないだろうか。