其の53:映画史上の大傑作「2001年宇宙の旅」

 筆者は量こそ全盛期よりはかなり減ったが、今でも月に数冊の映画雑誌に目を通す。先日、発売された某雑誌の特集「世界の映画オタクが選ぶ史上最高の映画」で史上ナンバー1に選ばれたのはー「ショーシャンクの空に」だった!確かにいい映画だとは思うが・・・ちょっと待ってほしい!!
 主人公のティム・ロビンスモーガン・フリーマンも最高の演技をみせるがロビンスは<冤罪>である。ネタバレになるから詳細は書かないが、彼の身の潔白が晴れる事はない。これはー結局、悲劇だ。「映画史上のナンバー1」とちょっと違う気がする。
 では、それに該当する映画とは一体何か?筆者は迷わず「2001年宇宙の旅」だと断言する!(以下、その理由をアレコレ)

 超メジャー作なのでストーリーは書きませんが、これは「SF映画史上の金字塔」のみならず「映画史上の金字塔」と呼んでも過言ではないだろう。監督スタンリー・キューブリックはSF作家アーサー・C・クラークと共に脚本を練りに練り、莫大な金と時間を掛けて(1968年、当時としては)完璧な未来世界を構築した。「宇宙を舞台に人類と神の関わりあいをリアリズムで描く」−これ以上のスケールを人間の頭で考える事は不可能だろう。無理に考えるとしたら「スター・ウォーズ」や「デューン砂の惑星」のように<スペース・オペラ>にするしかない(かのジョージ・ルーカスさえも「2001〜」がなければ「SW」は出来なかった、と公言している)。

 クラシック音楽の使い方、類人猿が投げた<骨>が<宇宙船>につながる編集ー当時は難解と片付けられたが、いま見直しても監督の才気がほとばしる凄い映画だ。観る度に技術的な面では越えられても(いまは何箇所かのミスも指摘されているし、キューブリックは当初冒頭にあった科学者達のインタビューをカットしたりしている)作品の持つ格やテーマでかなうものはー二度と出来ないだろう。
 2001年にリバイバルされたが・・・また「映画館」でこの作品を堪能したいものだ。今作を越える映画をもし死ぬまでに観られたら・・・最高だ^^。