其の48:正統派大作「ダンス・ウィズ・ウルブス」

 ある一時期、奇をてらった映画ばかり公開されてゲンナリした時期がある。そんな時に観たのがアカデミー作品賞に輝いた西部劇「ダンス・ウィズ・ウルブズ」。上映時間は3時間以上あったが全く飽きなかった!「映画らしい映画」を観た感じがした。最近、この作品について誰も語らないので(苦笑)あえて掘り起こそうと思う!

 物語は南北戦争時代。ケビン・コスナー演じる主人公が赴任先でアメリカ・インディアン(今風に書くと「ネイティブ・アメリカン」ないし「先住民族」。ちなみに「インディアン」は放送禁止用語!)と接する内に彼らに魅了され、やがて白人社会と決別する・・・というもの。こうストーリーを書いてみると・・・これってトム・クルーズ主演の「ラスト・サムライ」と酷似しているのだ!といってトムのせいではないとは思うが(苦笑)。

 主演も兼ねたケビン・コスナーはこれが初監督(オスカーも得た)。突飛な映像技巧に走らず正面から正々堂々と映画に取り組んだのが<成功の勝因>だろう。後に些細な時代考証ミスを指摘された事もあったが、作品の持つ<風格>にはなんら問題なし!
 また、ハリウッド映画の定番「インディアン=敵」という図式を捨てたのも良かった!撮影に協力した先住民女性が「(ケビンら)白人もたまにはいいことをするわね。」と発言したぐらいだ。これにならって早いとこ「日本軍=敵」というベタな図式も止めてほしいと思うのは筆者だけか(・・・イーストウッドの新作で払拭されるかな?)。
 現在、発売中のDVDには「4時間アナザーバージョン」なるものもある。筆者はこれも観たが、さほど大きな変更はなし。1時間も長くなったけど、これまた全く飽きずに観られた!ドンパチが売りではない「異色西部劇」だが、是非観てほしい1本である。
 ちなみにコスナーは監督第2作「ポストマン」で轟沈!最近、ヒット作に恵まれていないが、この間試写会で観た映画はいい味出してましたよ。ただ、役柄がこれまた定番の「元大リーガー」だったけど・・・(苦笑)。