其の46:「尾道三部作」は「さびしんぼう」でしょ!

 久々に邦画を!大林宣彦監督作品は正直<当たり・外れ>が大きい(ファンの方、ごめんなさい)。「漂流教室」や「姉妹坂」を観た時には・・・流石にがっくりきた(苦笑)。でも筆者も彼の代表作「尾道三部作」は大好きである。「転校生」、「時をかける少女」もいいのだが、中でも一番好きなのは最終作「さびしんぼう」である。同時上映が松田聖子神田正輝共演の駄作「カリブ・愛のシンフォニー」だった事も今では思い出深い(苦笑)。

 主人公の高校生(常連・尾美としのり)は、ある美少女(富田靖子)に密かな想いを寄せるウブな青年。個人的に彼女を「さびしんぼう」と呼んでは見つめているだけの毎日だ。そんなある日、ピエロの格好をした奇妙な少女「さびしんぼう(富田・二役)」が彼の前に現れ、騒動を巻き起こす・・・。前2作同様、藤子・F・不二雄言うところのSF<少し・不思議>テイストは健在だ。

 大林監督は晩秋から冬の尾道(雪景色あり!)を舞台に、青年の恋をノスタルジックに優しく紡いでゆく(「転校生」の様なコメディ・タッチは控えめ)。全編を通して流れるショパンの「別れの曲」が作品の叙情性を高める事に成功している。
 「アイコ16歳」でデビューした富田靖子(ちなみに筆者と同い年)が今作では、もの静かな美少女とピエロ(=道化)の「さびしんぼう」を演じわけて好演!彼女のベスト作ではないだろうか(最近、観ないのが寂しい・・・)。尾身としのりは大林監督の分身として、ここでもいい味出している。
 数年後、大林監督は「新・尾道三部作」をスタートさせるが、筆者はあいにく1本目の「ふたり」しか観ていない。やはり前のシリーズが良かったので、イメージを壊されたくないのかもしれない・・・。でも、いつか頑張って残りの2本も観てみます!