其の35:並の韓流ではない!「殺人の追憶」

 世間では未だ「冬のソナタ」のヨン様ほか韓国人スターの人気は高いし、少し前には「オールド・ボーイ」(原作は日本の漫画!)がカンヌで受賞する等、<韓国映画>は出演者も作品のレベルも本当に上がったと思う。少し前までは「桑の葉」とか“エロス系”が多かったのに(笑)。その中でも筆者のイチ押しが実話の映画化「殺人の追憶」!!ちなみに純愛とか泣かし系ではないので要注意。

 1986年から91年にかけてソウル近郊の村で起きた10件の連続婦女強姦殺人事件(通称「華城(ファソン)連続殺人事件」。当時、韓国国内を震撼させた一大事件であった)の顛末を警察側の視点で描いている。2003年に韓国で公開されると大ヒットを記録し<実話サスペンスの傑作>との呼び声が高い。

 映画は捜査にあたる<ふたりの刑事>に焦点をあて進行していく。名優ソン・ガンホ演じる刑事は「捜査は足が基本」をモットーとするベテラン刑事。「フレンチ・コネクション」のポパイのような強引な手法も平気で駆使する(苦笑)。当時の韓国警察ではまだプロファイリングや科学捜査が導入されていなかったそうで、ひと昔前の日本の警察をみる思いだった(関係者の方、すみません!悪意はありません)。そしてもうひとりがキム・サンギョン演じる今風の新任熱血刑事!まぁ、こういう対比はよくある設定ですが、彼らの迫真の演技にぐいぐい引き込まれていきます。

 監督は1969年生まれの新鋭、ポン・ジュノ。監督2作目となるこの作品で重厚な画作りを披露!脚本や編集も完璧・・・そして何と言ってもラストのソン・ガンホの表情が忘れられないー。個人的には皆が凄いという「オールド・ボーイ」より「殺人の追憶」の方が上!騙されたと思って是非一度ご覧下さい。本当にいいんだから(叫)!!