其の34:コンビ最強作!「タクシードライバー」

 最初に書きます。今回は「タクシードライバー」・・・大名作で申し訳ありません!でもこれは外せない・・・。

 映画界には<名コンビ>と呼ばれる人達が大勢いる。黒澤明三船敏郎小津安二郎笠智衆。そしてマーティン・スコセッシロバート・デ・ニーロ!!
世評ではふたりのコンビ作は「レイジング・ブル」の方が評価は高いー勿論、これも傑作だがー筆者的には、この「タクシードライバー」を推す。

 少女娼婦を演じたジョディ・フォスターに若きハーベイ・カイテル。最後にはモヒカン刈り(実はかつら)になって狂気を爆発させるデ・ニーロ!・・・メジャー作ゆえあえて物語は省略するが、俳優達は最高の演技を披露し、映画全体を覆う倦怠感・閉塞感いっぱいの異様なムードと相まって観る度にゾクゾクする(監督スコセッシもタクシーの乗客役で怪演)。ヒッチコック作品でお馴染み、バーナード・ハーマンによるけだるいテーマ曲も最高だ。

 実はこの映画が<実話>をモデルにしている事は余り知られていない(詳細は「映画秘宝」関連の書籍参照の事)。事件を起こした犯人に触発されたポール・シュレイダー(監督もやってます)が自身の経験(=絶望的な孤独感。しばらくシュレイダーは他者と一切係わり合いを持てない時期があった)も重ね合わせ、一気に脚本を書き上げたという。その昔、ある世界的著名人(名前忘れた)が「創作に必要なことは大いなる孤独だ」というような言葉を残しているが、この作品こそ、その言葉にピッタリ当てはまる。

 ・・・デ・ニーロと異なり「アビエイター」でもアカデミーを受賞できなかったスコセッシだが、それにめげることなくデ・ニーロとまたこのテの作品をつくって欲しいなー!