其の33:異色マカロニ作「殺しが静かにやって来る」

 今回チョイスしたのは「殺しが静かにやって来る」。セルジオ・レオーネの「ウエスタン」に続いて、またマカロニ・ウエスタン・・・です。「続 荒野の用心棒」で知られる(?)セルジオ・コルブッチ監督ではありますが、実は筆者が偏愛しているのが、この知る人ぞ知る傑作「殺しが静かにやって来る」です!

 19世紀末の米・ユタ州を舞台に、幼少時に声帯を失った凄腕のガンマン(演ずるはジャン=ルイ・トランティニアン)と冷酷な賞金稼ぎ(クラウス・キンスキー)が対立!<善と悪>の決闘の行方はー!?

 ストーリーは至ってシンプルですが(苦笑)、まず何より驚かされるのが、その舞台設定!なんと・・・一面の銀世界(笑)。普通、西部劇というと<荒野>を想起しますが、冒頭の雪山のシーンから意表を突いてくれる。主人公は口がきけないし、ヒロインは黒人!そしてラストの決闘に至っては・・・呆然とすること間違いなし!!<衝撃のラスト>も今作の売りなので、どうぞお愉しみに!コルブッチは今作でも脚本を兼任していますが「続 荒野〜」同様、かなりのアイデアマンであったことがうかがえます。

 若い人は知らない人も多そうだけど、主演のジャン=ルイ・トランティニアンは映画「男と女」(♪〜ダバダバダの曲で有名)の俳優さん(西部劇にフランス人とは・・・笑)。対する悪役クラウス・キンスキーはナスターシャ・キンスキー(「テス」)の父親。イケメンと強持て俳優、両者の起用は正に適役!

 そして、この作品も音楽はエンニオ・モリコーネ!!「ウエスタン」の曲もいいが、この映画のテーマ曲も哀愁漂う名曲。筆者は勿論、このサントラも持っています(笑)。レオーネの「ウエスタン」同様、この作品も映像と共に音楽もお楽しみ下さい!