其の32:邦題であなどるなかれ「ウエスタン」

 西部劇で邦題が「ウエスタン」・・・!この作品が賛否両論ある事は知っている。3時間という長尺の上、展開(テンポも)が非常にたるい!だが・・・一度観ると、また何故かしばらくすると観たくなってしまう。このセルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」(ややこしい邦題)はそんな不思議な映画だ。

 勿論、<マカロニ・ウエスタン>なのでチャールズ・ブロンソンが悪役ヘンリー・フォンダ(!)に復讐する・・・っていうのがメインプロットとなっているが、それに紅一点クラウディア・カルディナーレが絡み西部開拓時代の人々の様子が描かれる野心的な試み。原案にベルナルド・ベルトルッチダリオ・アルジェントも参加している。他のチープで安易なマカロニとは一味違うのだ!

 破格の予算がかけられたお陰で巨大な街のセットや当時の蒸気機関車も登場!場面の一部はアメリカでも撮影されている(レオーネがジョン・フォードの大ファンだから。メインはいつものようにスペインでロケ)。ハリウッド作品といっても遜色のないレベルだ。

 先述した豪華俳優陣はもとより、筆者がこの作品でなによりも強調したいのが「音楽」である。担当したのはレオーネの盟友にして映画音楽界のマエストロ、エンニオ・モリコーネ御大!各キャラクターに合わせてメインとなる楽器を使いわけている。特にカルディナーレのテーマは絶品!!こんなに美しい旋律の曲が西部劇にあてられた事はなかった(勿論、いまでも)。筆者がサントラを持っていることは言うまでもない。音楽にも着目しながら映画をお楽しみ下さい!!