其の25:どんでん返しの愉楽「スティング」

 ミステリーやサスペンス映画の楽しみのひとつに<どんでん返し>がある。観客は当然、展開を推理しながらことの成り行きを見守るわけだが、ラストで非常に巧く裏切られると(いい意味で騙されると)、ある種の<爽快感>がこみ上げてくる。その代表作が「スティング」だ。初見ではそのどんでん返しの見事さに思わず声をあげてしまった(笑)。アカデミー作品賞や脚本賞に輝いたのも納得である。

 言わずとしれた大名作なので詳細は省くが、監督のジョージ・ロイ・ヒルポール・ニューマンロバート・レッドフォードの3人は傑作「明日に向って撃て!」でもいい仕事をしている。M・ハムリッシュのノスタルジックなテーマ曲(何故か運動会でお馴染み)にのって小気味いいユーモアとサスペンスが堪能出来ること間違いなし!!(注意:薬師丸ひろ子主演「紳士同盟」は「スティング」とオチが一緒!こちらを先に観てはいけない!)

 ・・・「スティング」を観た後では近年、制作された「閉ざされた森」や「ソウ」は、意外性はあるもののオチが現実的ではない。「ワイルド・シングス」に至っては永久に終わらないんじゃないかと思うぐらいゴロゴロころがる(苦笑・決して嫌いではないが)!

 この他、<大どんでん返し>が愉しめる映画にはフランス映画「悪魔のような女」(シャロン・ストーンのリメイクじゃない方)、ビリー・ワイルダーの「情婦」、未だにリバイバルされない「生きていた男」(筆者、残念ながら未見)等が挙げられるが・・・かなり後続作品で真似されているので、これから観る人達にどれだけの<衝撃>を与えられるのか気になるところではありますが・・・。