其の18:北野武の最高作「ソナチネ」

 突然ですが・・・北野武の最高傑作は「ソナチネ」である。
 筆者はビートたけしのファンである。よって、彼が本名・北野武名義で「その男、凶暴につき」を初監督して以来、全作をリアルタイムで観ている(おそらく、これからも)。北野が監督になった当時、俗にいう<異業種監督>が多数現れた。が、現在まで監督を務めているのは彼だけだ。それも世界的巨匠に!凄いことだと思う。その北野武の最高傑作が「ソナチネ」だ(「HANA−BI」はこれの焼き直しにしか筆者にはみえない。勿論、悪い映画ではないが)。

 暴力団同士の抗争をおさめるべく沖縄に送られたヤクザ(勿論、演じるのはビートたけし!)が、次々と部下を失いながら<ことの真相>に迫ってゆく・・・。このように書くとハードボイルドではないかと誤解されそうだが、あくまでタッチは<北野流>。全てが淡々と展開してゆく不思議なヤクザ映画だ。

 北野作品もまた数々の特徴に溢れているー極端におさえられた台詞。<北野ブルー>と呼ばれる原色を排した青めの映像。横一列に並ぶ人々。必ず登場する美しい海。幾度となく繰り返される印象的な音楽。ゆったりとした編集。突発的に起こる暴力と、それに伴う相手のその後の様子(これは「ビー・バップ・ハイスクール」の方が先だ)・・・。数えあげたらキリがない。彼の作品は、彼にしか創りえないのだ。
 この作品では<人間紙相撲>、<海辺での花火による打ち合い>、<エレベーター内での銃撃戦>、そして<最後の戦い(これは観てのお楽しみ)>と印象深い場面が他と比べて圧倒的に多い。傑作の傑作たる由縁である(この監督第4作には勿論、常連俳優ー大杉漣寺島進が出演している。そちらもお楽しみに)。

 個人的に思う北野作品ベスト3 ①「ソナチネ」②「キッズ・リターン」③「その男、凶暴につき