其の19:業界人にも影響を与えた「ブレードランナー」

 先日観た「交渉人 真下正義」の監督は、かなり「ブレードランナー」を意識して撮影したと思う。全体的な照明のトーンや秋葉原のロケ部分等、もろ「ブレラン」(笑)。某有名歌手の旦那が監督した作品も「ブレラン」の影響バレバレ(苦笑)。そう・・・日本の映像業界に多大な影響を与えた憧れの映画が「ブレードランナー」なのだ(あともう1本は「バクダッド・カフェ」。あの斜めの構図!!)。

 近未来のロサンゼルス。ここにレプリカントと呼ばれる作業用人造人間達が逃げ込んだ。人間以上の能力を持つ彼らを捕縛する為<ブレードランナーデッカード(演ずるはハリソン・フォード)の追跡が始まる・・・!

 何といっても、この作品を支えているのが<近未来のロサンゼルス>の造形!常に酸性雨が降り注ぎ、昼か夜かもわからぬ退廃的なムード。アジアと西洋の文化が渾然一体となった摩訶不思議なビル群。常にスモークが漂う濡れた路地。空を飛ぶ未来の車<スピナー>の群れ・・・。観る度に一度でいいからこの街を訪れてみたいと思う。監督リドリー・スコットとビジュアル・コンセプトを担当したシド・ミードガンダムにヒゲを付けたのもこの人)の美意識のたまものだ。ストーリーよりも<ムード>を愉しむ数少ない映画といってもいいだろう(筆者的にはバートンの「バットマン」1,2もムードを愉しむ映画)。

 この映画は幾つかのバージョンがあり、今観られるのは「ディレクターズカット 最終版」。「劇場公開版」と「ディレクターズカット」の両方を比較しながら楽しむとベストなので(ラストが大きく異なる)、メーカーの方「劇場公開版」ももう1回ソフト出して!!