其の9:新社会人は必見!「セント・エルモス・ファイアー」

 先頃、ヒットした「オペラ座の怪人」のジョエル・シューマーカー監督作品(この人は度々、日本語表記が変わるので、ここではあえてDVDのジャケットに合わせました)「セント・エルモス・ファイアー」。某有名脚本家による「愛という名のもとに」の元ネタとしても一部では知られている(笑)。出ているメンバーが凄い!ロブ・ロウエミリオ・エステベスデミ・ムーア、アンディ・マクドウェル・・・って、今となっては最近の映画しか観てない輩には知らん人達ばかりだ(苦笑)。だが、この作品の持つ「普遍性」は<永遠>だろう。

 大学を卒業した男女7人。だが、<社会>は何の責任もない、お気楽に過ごせた学生時代とは余りにも勝手が違っていた。夢と現実のギャップ、恋愛問題、仕事上でのトラブル・・・各々が様々な困難に直面していく姿が描かれる<苦い青春映画>だ。

 「自分が社会に出た時のとまどいを映画にした」と監督が言う通り、これは誰しも身に覚えのある事だろう。正直に告白すれば、筆者もそうだった。大学を出て映像制作会社に入ったとき、「一般企業と違って面白いアイデアや映像のセンスがあれば、すぐ上(=演出家)にいけるさ!」と単純に何の確証もなく考えていた。<学生気分>が抜けていないアンチャンそのものだった。しばらくして、その単純な希望は現実ではない事に気付き、必死に努力とアピールを続けたおかげで今日があるわけだが、そうでなければ今頃夢破れて何をしていたんだか(苦笑)。

 物語の後半、部屋に引きこもって外に出なくなったデミ・ムーアを助けるロブ・ロウ。ここでの二人の会話は感動的だ。特に社会に出た人達にとっては(ここでは書きませんが)。筆者はいつもここで涙する(笑・でも本当)

 ラストに流れる主題曲「セント・エルモス・ファイアー」は名曲の一言!エンドロールが流れると、すぐに席を立ったり、DVDを停止する人も多いが(苦笑)最後の最後まで観て、聴いてください。長く心に残る一作です。