其の5:君は「続 荒野の用心棒」を観たか!?

 「続 荒野の用心棒」・・・これは俗にいう「マカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇の事。欧米では「スパゲッティ・ウエスタン」と呼ぶ)」です。邦題だけ聞くとある別の作品を思い出しますが、決してクリント・イーストウッドとは何の関係もないのでお間違いなく。60年代後半、沈滞していた本場・ハリウッドの西部劇に対抗して作られたこのジャンルは一世を風靡し、これまた一瞬にして消え去りました。人の世のうつり変わりの激しさよ・・・(涙)。

 物語はいたって簡単!イーストウッドの「荒野の用心棒」そっくりです・・・(と言ってもこちらも黒澤明の「用心棒」からの盗用)。2つのアウトロー集団の間をうまく渡り、双方を壊滅においやる・・・って本当にみんな一緒(笑)。ただ、マカロニのウリ「残虐さ」と「銃撃戦」は今作が上!特にそのバイオレンス描写が問題となり、イギリスでは長い間観る事が許されなかったという弊害もあった(その点、暴力描写に関しては日本は未だにゆるい)。その問題の部分をタランティーノが初監督作「レザボア・ドッグス」で、一部真似してたりもします(これは問題にならなかったのか?)。

 主演はこれでブレイクしたフランコ・ネロ。今では「ダイ・ハード2」のラストで飛行機に乗ってた将軍役・・・の方が分かる人が多いのかも。この作品では、全身黒装束に身を包み、ただならぬ殺気をふりまいております(この時、23歳だったとはとても思えん)。

 監督はセルジオ・コルブッチ(レオーネじゃないよ)!この人は脚本も兼任している事が多く、劇中にありとあらゆる奇抜なアイデアを盛り込んでいます。通常、西部の街は乾燥した大地を思い浮かべますが、ここでは土地がぬかるんでいる(笑)。そこに現れる主人公・ジャンゴ(ネロの役名。原題はまんま「ジャンゴ」)は馬に乗らず、棺桶を引きずってやって来る・・・。更には西部劇ではある意味、アンフェアなマシンガンの乱れ撃ち!!・・・正に一度観たら忘れられないシーンのオンパレードなのです!

 レオーネの諸作はいまやメジャーですが、コルブッチはコアな映画ファン以外、一般には知られていない不遇の監督。ところが、今では彼の作品も相当数DVDで出ています。中には、かのエンニオ・モリコーネが傑作スコアを提供した作品も多々ありますので、彼のサントラと共にコルブッチ作品をどうぞお楽しみください!(また後日、他のコルブッチ作品を扱います!しかも何度も^^)