其の4:超感激のラブ・メルヘン!「天使のくれた時間」

 映画「天使のくれた時間」は、DVDになった時にようやく観て、不覚にも感激してしまった数少ない一作。主演のニコラス・ケイジには特に興味もなく(ファンの方、失礼!)、ふとタイトルに魅かれて見てみたら(ラブ・メルヘンです)・・・これがもういいのなんのって!!!!!

 
 物語は現代のアメリカ。ウォール街で成功をおさめたニコラス扮する大会社の社長(富と権力しか興味のない嫌な独身男)が、ひょんな事から「かつての恋人を捨てずに、もし結婚していたら?」のifの世界にまぎれこむ。最初はとまどいを覚える主人公だったが、妻(=元カノ)や子供たちと接していく内に<人としての優しさ>を取り戻してゆく・・・。

 
 まず、劇場に行かなかった理由のひとつは監督のブレット・ラトナー!「ラッシュアワー」シリーズの監督に、普通メルヘンは期待しない(笑)。筆者と同じく何と監督自身も、初めにオファーが来た時には全く興味がなかったそうだ。ところが、台本を読んだら超感激!「是非、俺にやらせてくれ!!」と自らプロデューサーにかけあったという(なんていい奴だ・笑)。
 おそらくラトナーが筆者同様、心魅かれたのは元恋人を演じるティア・レオーニの設定!無料で活動する女弁護士にして、あくまでも夫を信じて彼についてゆく、ある意味<男が求める理想の妻>を好演している。この作品以前にも「バッド・ボーイズ(ショーン・ペンのじゃないよ)」や「ディープ・インパクト」等に出ていたが、全く筆者の琴線には触れなかった。ところがこの作品では、それを一気に払拭!!これこそ彼女の真の代表作だ。この現象は筆者的には「恋しくて」のメアリー・スチュアート・マスターソン以来の快挙(「恋しくて」はまた後日扱います)。

 男(それも結婚適齢期を迎えた)には、過去の恋愛も含めて胸に響く傑作である。しかし、現実は「覆水、盆に返らず」。観て、独り男泣きするしかない(笑)。