<其の816>新年1発目は「エクスペンダブルズ ニューブラッド」寸評

 2024年になりました。本年も宜しくお願い致します。

 ところが新年初日からこの国では大災害が起き・・・その他、10日あまりで色々ありすぎ!一体どんな1年になるのやら・・・(怖)。

 

 年末の予告通り、シリーズ第4弾「エクスペンダブルズ ニューブラッド」を観て来ました。筆者が前作を観たのが2014年の9月だからー約10年ぶりの新作!!絶賛公開中につき、サクッと書きます。加えて、パンフレットは過去3作同様、超ぶ厚い!

 

 第3次世界大戦を画策する謎の私兵軍団を止めるべく、CIAから依頼を受けたエクスペンダブルズが新メンバーを加えて活躍する・・・相変わらずストーリーはこれまで通り超シンプルでいいね(笑)!

 

 このシリーズ最大の“売り”であるエクスペンダブルズのメンバーにはシルベスター・スタローンジェイソン・ステイサムドルフ・ラングレンらの従来メンバーに加え、新メンバーとしてアンディ・ガルシア(「アンタッチャブル」)、ミーガン・フォックス(「トランスフォーマー」シリーズ)、トニー・ジャー(「マッハ!」シリーズ)他が参加。敵役にはイコ・ウワイス(「ザ・レイド」シリーズ)が扮している。これだけ読んでもお分かりの様に、過去3作の超豪華俳優陣(シュワちゃんブルース・ウィリスハリソン・フォードメル・ギブソンほか)と比較すると・・・アクターとしての粒が小さいよなぁ(各俳優のファンの方々すみません)。トニー・ジャーやイコ・ウワイスはマジでアクション出来る凄い人達ではあるのだけれど。

 過去にも出演依頼していたジャッキー・チェンカート・ラッセルジャック・ニコルソンとかが出てたら今作のワクワク度が全然変わってたと思うけど。更に<アクション>で考えるとトム・クルーズキアヌ・リーヴス(せめてジョン・トラヴォルタ)、女優陣もアンジェリーナ・ジョリーミラ・ジョヴォヴィッチキャメロン・ディアスが出てたら良かったなぁ~(まぁ・・・出ないだろう)。

 また今作は主役が高齢のスタローン(1946年生)からステイサム(1967年生)にバトンタッチ(ゆえに邦題の副題が「ニューブラッド」)。序盤に「えっ!?」という意外な展開もある。ぶっちゃけ、筆者世代(「ロッキー」シリーズ&「ランボー」シリーズのリアル鑑賞世代)はスタローン見たさにこのシリーズも観てるんでね・・・ちょっと寂しかった。なんでも今シリーズの<スピンオフ>企画の1本がステイサムを主人公とした話で、それが今回の元になったそう。

 

 スタントマン出身のスコット・ウォー監督のもと、カーチェイスにドンパチ(大爆破含む)、肉弾戦と作品の肝であるアクションはてんこ盛り^^!邦画では出来ない、80年代からのお約束、ハリウッド大派手アクションを見せてくれる。「アクション映画」としては充分、及第点なんだけど<往年のアクションスター大集合>がこのシリーズの<柱>なので、その意味で今回の出来は・・・最下位だわ。ステイサム主役で今後作られるであろう<第5弾>がどういうメンバーになっていくのか、一アクション映画ファンとして注視したいと思う。

 

<其の815>2023(令和5)年総括!!

 激動の2023年もまもなく終わります。国内的にはWBCで世界一を奪還したり(今年は「大谷翔平の年」だったと思う)、コロナが少し落ち着いた(消滅した訳では決してない)反面、世界ではロシアとウクライナの戦争が終わらないのにイスラエルハマスが戦闘状態に入る等、激動の1年でもありました・・・(悲)。来年はどんな年になるんでしょうねぇ・・・??

 

 さて毎年末恒例の<年間映画総括>です。以下、劇場で観た作品のみ書いていきます(試写会やTV放送、DVD等は除く)。

 

① 1月「モリコーネ 映画が恋した音楽家」<ドキュメンタリー>

② 1月「獣人雪男」(リバイバル

③ 2月「フランケンフッカー」(リバイバル

④ 2月「ベネデッタ」

⑤ 3月「ファイブルマンズ」

⑥ 3月「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

⑦ 3月「シン・仮面ライダー

⑧ 5月「劇場版サイコパス PSYCHO-PASS  PROVIDENCE」<アニメーション>

⑨ 6月「ザ・フラッシュ」

⑩ 7月「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」

⑪ 7月「君たちはどう生きるか」<アニメーション>

⑫ 7月「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」

⑬ 8月「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」<ドキュメンタリー>

⑭10月「ジョン・ウィック:コンセクエンス」

⑮10月「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

⑯11月「ザ・キラー」

⑰11月「ゴジラー1.0」

⑱11月「首」

⑲12月「怪物の木こり」

⑳12月「ナポレオン」

 

 ・・・という20本!さほどダメ映画は観ないで済んだけど(作品名は挙げないが皆無ではない)、格調高い芸術的な作品は一切ない(苦笑)。

 20本以上劇場で観たのは2012年以来(!!)だから、学生さんならいざしらず、50代のおっさん社会人としてはまぁまぁ観にいったなぁ、と我ながら思う(笑:スケジュールの問題で3本程見逃した作品もあるが)。スピルバーグ北野武ポール・バーホーベンデヴィッド・フィンチャーリドリー・スコットらの新作が公開されたのだから、今年は豊作だったな^^。シリーズものが多いのはーここしばらく続いてるハリウッドの傾向。

 筆者はあまりドキュメンタリーは好んで観に行く人じゃないんだけど、珍しく2本も観たし、リバイバルにも2回行った。これも個人的には珍しい事!

 秋頃からは<劇場先行公開→配信>パターン作品を観る事が多くなってきた。配信自体がちょっと苦手なので(加入もしてないし)・・・「映画館でやってる内にダッシュで観に行った」というのが正直な感想。コロナ渦の巣ごもり需要で配信ものが増加した訳だが、マーティン・スコセッシデヴィッド・フィンチャーリドリー・スコットの作品も配信前提で製作されるとはね・・・これも“時代”ですな。今後ますますこの傾向に拍車ががかかると思うので、筆者もいずれ時代に合わせないといけない時がくるんだろうね。それもまた時の流れ、致し方なし・・・。

 

 今回で年内の更新は終了です^^。来年は・・・「エクスペンダブルズ」の新作でスタートすると思う(笑)。来年はこれまで同様、旧作を増やしたいと考えてはいますが。当ブログは1000回をもって終えるつもりなのですが、このペースだと、、、あと何年かかることやら(溜息)!?書き終えるのが先か、筆者が死ぬのが先か。

 まぁ、私自身わからないので・・・これまでのように自分のペースで頑張りますわ。それでは今年も有難う御座いました!また来年も宜しくお願い致します!皆様、良いお年をお迎え下さい。ではまた来年!!

 

<其の814>ジョー・ダンテの怪作「グレムリン2 新・種・誕・生」

 12月も下旬になりました。何気に街も年末感が出て来ましたなぁ・・・。今年も世の中色々あったけど、筆者個人はまたまた仕事だけの1年だったわ(後悔)。

 

 ジョー・ダンテ監督(「神曲」のダンテとは無関係)といえば「ジョーズ」の良く出来た二番煎じ作「ピラニア」(後にリメイクされた)や「ハウリング」、そしてスピルバーグがプロデューサーの「グレムリン」(’84)で知られる監督(近年は撮ってないようだけど・・・)。その彼が手掛けた「グレムリン」の続編が「グレムリン2 新・種・誕・生」(’90)。まぁ、これがねぇ・・・凄いのよ、無茶苦茶で(苦笑)。観る人によると思うけど、これもある意味「面白い映画」だわ^^。あくまで人によるけど(笑)。今作を観る前に「1」は必ず観てね(「1」のパロディーやってるところもあるんで)。

 

 アメリカ・ニューヨーク。チャイナタウンの再開発を進めていた不動産王ダニエル・クランプは、ギズモを飼っていた老骨董品店店主が亡くなるとすぐさま店の解体に着手した。その際、ギズモは外に逃げ出したものの、遺伝子研究所の所員に捕らえらえてしまう。

 一方、ビリー(=ザック・ギャリガン)とケイト(=フィービー・ケイツ)は地元を離れてクランプが所有する巨大ビル「クランプ・センター」で働いていた。ひょんなことからギズモが建物内にある研究所にいる事を知ったビリーはギズモを助けたものの、彼が不在の時に水がかかり、数匹のグレムリンが生まれてしまう。ビル内で更に大量発生したグレムリン達は「クランプ・センター」内で大暴れ!!ビリーとケイトは事態収拾に乗り出したのだが・・・!?

 

 前作が大ヒットした為、すぐに続編を依頼されたダンテだったが興味がわかなかった為にオファーを受けず、他の作品を作るもののヒットに恵まれなかった。一方、スタジオ側はダンテ抜きで企画を進めたもののうまくいかず、前作より高条件(製作費アップや内容はお任せ)をダンテに提示。こうして双方の利害が一致して、いざ製作に入ったら「パニック映画」ではなく、ダンテの趣味が満載した「ドタバタコメディー映画」と化していった(笑)。

 映画はなんとアニメ「バッグス・バニー」(この為の新作!)からスタート(ダンテはアニメ好き)。わかりやすいニューヨークの空撮でドラマ本編が始まるが・・・劇中、テレビではスタローンの「ランボー/怒りの脱出」が放送されてたり、「バットマン」マークの照明が置かれている他、様々なパロディーと引用で溢れている。クランプはどう考えてもトランプ(現在からみれば彼は前アメリカ大統領だ)が元ネタだし。クリストファー・リーが出演しているのは・・・おそらくホラー映画ファンのダンテの趣味のキャスティングだろう^^。

 延々ドタバタが展開していく中、筆者が驚いたのは中盤、いきなり映像が止まってフィルムが焼け落ち、「グレムリン2」を観てる映画館内に場面がチェンジ!何故かそこにハルク・ホーガンがいて、無事本編に戻るという・・・ギャグ。アメリカ人は爆笑するかもしれないけど、筆者は一瞬不安になった(苦笑)。ダンテは映画館に様々なギミックを仕掛けたウィリアム・キャッスルをイメージして演出したそうだが・・・よくホーガンもオファー受けたな~^^。

 ラストはネタバレするから書けないけど・・・恐らくこのオチで映画が終わるという想定をした観客は皆無だろう。一時期の三池崇史監督作品を彷彿させ、苦笑い必至!その上、エンドロールでもまだやりたい事やってるからねぇ・・・。「好きにしていいと言われたし、絶対3作目が作られないようにしてやる!」とダンテが思ったのかどうかは不明だけど・・・。おかげで今作は一部で「大手スタジオが製作した映画史上、最もムチャクチャな続編」と言われている(爆笑)。

 前作から再登板したザック・ギャリガンとフィービー・ケイツが今作についてどう思ったのかは不明だが(再び二人は酷い目に遭ってる^^)、グレムリンは様々なタイプが大量に登場するから(人間の言葉を話すタイプも)“グレムリン・キャラファン”は喜ぶと思われ(当時は人形を使ってやってるから操演スタッフは大変だったと思う)、予算が増えた分、ドタバタぶりもパワーアップはしてる。ただ流石に遊び過ぎて、興行は惨敗。批評も散々な結果となった(あ~あ)。

 

 ひとりの映画監督が“映像作家”として(良くも悪くも)趣味を全面に出した作品としてコメディー好きな人、クリーチャーもの好きな人には面白いと思う。筆者はこれまでに今作より遥かにつまらない映画を山ほど観てきたし(マジです:苦笑)。ダンテのセンスがわかる人には是非見て欲しい一作。

 

 <どうでもいい追記>さて次回815回目は2023年の個人的総括回。きりのいい数字で締めくくれるのは良かった!その代わりに新年度のスタート回は半端な数字になるけどね(苦笑)。

<其の813>リドリー・スコット「ナポレオン」短評

 「エイリアン」、「ブレードランナー」他で知られるリドリー・スコット監督の最新作「ナポレオン」を鑑賞(←SF、実録犯罪もの、歴史ものという<リドスコ3本柱>の範疇に入る)。この作品も<配信前の先行上映>なので、早く観ないとスクリーンで観られなくなっちゃう(ソフトにもならんから困るわ)!

 ナポレオン・ボナパルトはこれまでにも数々の映画で取り上げられてきた人物ですが(かのスタンリー・キューブリックが生前断念した企画の1本としても有名)、スコットらしい演出&解釈で作られた作品でした。筆者はリドスコのファンだし、歴女ならぬ歴男でもあるので、喜んで観に行った次第。絶賛公開中なので、いつも通りサクッと書きます。

 

 物語は「フランス革命」直後、ギロチンにかけられるマリー・アントワネットの様を眺める青年ナポレオン(=ホアキン・フェニックス)が次第に軍人として頭角を現す中、年上の未亡人にして子供もいるジョゼフィーヌ(=ヴァネッサ・カービー)に恋して結婚。自由奔放な妻との関係を軸に彼の生涯を描くー。

 

 リドスコ自身、長年「ナポレオン」をやりたかったそうだし(この点はずーっと秀吉やりたかった北野武監督作「首」と同じ)、史実に乗っ取った歴史もの(「伝記」ともいえる)を過去に何本も作っているのでお手の物だとは思うけど(次回作は「グラディエーター2」のようだし)今作も・・・凄いよ!有名な「アウステルリッツの戦い」や「ワーテルローの戦い」他を再現する為、イギリス各地やマルタ島でロケを敢行。ナポレオン時代の軍事演習を受けた8000人ものエキストラを動員して最大11台のカメラで同時撮影。大迫力の戦闘シーンを演出してる。湖の氷が割れて敵軍がどぼどぼ水没していく場面では、撮影用の湖をわざわざ造ったそうだからーどんだけ製作費かかってんだろ!?勿論、VFXも使ってるんだけど・・・まぁ、見事でしたよ。こういう作品こそスクリーンで観るべきものだよね^^。

 ホアキンさんは「グラディエーター」以来のリドスコとのお仕事。肖像画で見る実際のナポレオンには似てないけど(めんご)、映画を観ている内にそんなに違和感がなくなっていくのが、、、不思議だわ。脚本は専門家たちの意見を聞いて書かれたそうだけど、ホアキンが沢山の質問をリドスコにして、一部書き直したというから、ホアキンの役への入れ込みようが分かる。一方、ナポレオンの最初の妻で悪妻として知られるジョゼフィーヌを演じたヴァネッサ・カービー肖像画には似てないけど(太地喜和子に似てると思ったのは筆者だけ!?)観ていくと実際こんな感じの人だったのではないかーと思ってしまった。ナイスなキャスティングだと個人的に思う。

 

 基本、史実通りなので(といっても一部、映画的脚色はあるからまんま信じてはいかんよ)ラストは書かなくても予想出来ると思うけどーこの映画をナポレオンの本国・フランスの人々がどんな感想を持つのか知りたいね。筆者は80歳越えても、こんな大規模な映画を創るリドリー・スコットのパワーをただただリスペクトするのみ。この劇場版は158分なんだけど、<別バージョン>としてリドスコは270分版も作ってるんだって(劇場版は「このシーンないの?」と感じてしまう箇所があったので、編集でかなりカットしてると思った)!!このバージョンも後日、是非観たいなぁ。

 

 今作も<配信前の先行上映作品>と先述したけど、フィンチャーやスコセッシの作品と違って、この「ナポレオン」は珍しくパンフレットが売られてた(驚)!パンフコレクターでもある筆者が購入した事はー書くまでもない。

 

 2023年、映画館に行くのは・・・これで最後だな~。スコットの作品で年を締めるのも映画オタクとして悪くないでしょう^^。

<其の812>三池崇史監督最新作「怪物の木こり」超短評

 12月になりました。2023(令和5)年も、もうじき終わり・・・早いなぁ!って、毎年同じこと書いてる(苦笑)。

 

 連チャンで映画館に通っている筆者ですが、三池崇史監督最新作「怪物の木こり」を観ました。亀梨和也演じる平気で人を殺すサイコパス弁護士と、斧で頭を叩き割って人殺す怪物のマスクを被った謎の連続殺人鬼との攻防を描くサスペンス映画。いかにも三池さん向きな作品じゃないですか、グロそうで(笑)。

 公開して間もないし、サスペンスなんで下手な事書くとアウトなので、ホントにちょっとだけ書くと・・・同名の原作小説を筆者は最初の方だけ読んでるんだけど(全部読んで映画を観ちゃうとついつい比較しながら観てしまうから)、2時間ちょいで作らねばならない映画の“脚色”としては、巧くまとめてる気がしましたわ(全部読んでる人に言わせると「原作とは別物」だそう。筆者も読了したら、そう思うかも)。しかも、映画は大してグロくなくて(・・・三池さん、遠慮した!?)、何気にいい話になってる(笑)。

 亀梨くんのサイコパス演技も怖いけど、筆者が一番印象深いのは中村獅童!たけしさんの「首」でも小悪人の百姓を演じてたけど、今作の粗野な男の役も・・・ぴったり!マジでそういう人なんじゃないのかと思ってしまった(笑)^^

 

 原作未読なら、そんなに悪くはないサスペンス映画。ラストの締め方も筆者の好みだし。近年滑ってた三池さんとしても、全盛期にはまだまだ及ばないけど、復調の兆しが見えて個人的には良かったと思った。来年はもっとハードなバイオレンス描写が続出する作品で我々ファンを狂喜乱舞させて欲しいものだ。

 

 個人的にはあと映画館で1本観て今年を終えるつもり・・・。今年の更新は、なんか新作レビューばっかりになっちゃったけど、来年は以前のように過去作も勉強した上で更新していくつもり。いや、、、そうしたい(願:苦笑)。

 

<其の811>たけしさんの方の映画「首」短評

 今年も残り1か月(早っ)!今年も仕事ばかりで何もしなかったけど・・・世界は色々あったなぁ・・・。2024年はどうなるんだろうか?

 

 6年ぶりとなる北野武監督作(もっと書けば原作、脚本、編集、主演兼任)「首」を観て来ました。製作費15億円(KADOKAWA夏野剛社長談)の北野作品最大級の大作ですが・・・あわや“お蔵いり”の事態(KADOKAWAと揉めた)と噂されていたので、無事公開されて良かった良かった^^!賛否あるようですが絶賛公開中という事でサクッと書きます。いつもの様にネタバレなし!

 

 天正6年(1578)ー。荒木村重(=遠藤憲一)が織田信長(=加瀬亮)に謀反を起こし、翌年、村重は城から姿を消した。信長は羽柴秀吉(=ビートたけし)や明智光秀(=西島秀俊)ら家臣を集め、自身の跡目相続を餌に村重の徹底捜索を命じる。秀吉は弟の秀長(=大森南朋)、軍師・黒田官兵衛(=浅野忠信)と策を練り、千利休(=岸部一徳)の配下で元忍者の芸人・曽呂利新左衛門(=木村祐一)を使って村重探索を指示する。その頃、侍に憧れる茂助(=中村獅童)は戦に参加する為、家族を捨てて村を出るが・・・!?

 

 「本能寺の変」を題材にしてますけど、大半の観客の予想通り<戦国版「アウトレイジ」>ですよ!謀略、裏切り、暴力、そして衆道・・・。通常の時代劇では描かれない、たけしさんが考えるドロドロした人間関係と世の中を描く“リアル戦国絵巻”。「その男、凶暴につき」で犯人を追いかけたものの、走り疲れて歩くという“リアルな刑事”を描いたたけしさんらしい。筆者もこの発想には賛成。実際のところはもっと凄いと思うけど。

 やっぱり一番印象に残るのは加瀬亮演じる信長が・・・完全にガイキチ(笑)!テンション高くコテコテの尾張弁で叫び続け、パワハラという言葉なんぞ軽~く越える超バイオレントなクレイジーキャラ。居城(←映画には出てこないけど女人もわんさかいた筈)の、しかも昼間のオープンスペースで小姓を掘りまくるシーンは爆笑した(戦場じゃないのに)。戦国武将の男色話は史実通りだし、たけしさん的にも出演した大島渚監督作「御法度」の影響もありそうだ。いろいろやらされた加瀬亮は本当に大変だったと思うけど、彼になんらかの助演男優賞が与えられる事を希望する^^。ちなみにたけしさん自身とキム兄(原作小説より曽呂利の比重は大分小さくなってる)の演技はーいつも通りだったような気が・・・(笑)。あと<黒人初の侍>といわれる弥助(=副島淳)が登場していた事も書いておく。あんまり、この時代を扱った作品で彼が出てこないから。

 映画のキャッチコピーのひとつに<構想30年>とあるが・・・数字自体は別としても、アイデア自体は「ソナチネ」の頃に思いついたそうで、平成10年に出版された新潮45別冊「コマネチ!ビートたけし全記録」内で今村昌平監督との対談中にも「お金がかけられれば、やっぱり秀吉をやりたいな。」との発言もある。自ら小説も書いているし、今作がたけしさんの中で相当熟成された企画である事は間違いなく、合戦のシーンも迫力があって、巧く演出&編集していると思った。

 

 タイトル通り(!?)、いろんな人の「首」がスパスパ飛ぶので、女子ウケしない作品だと思うけど(笑)、ちょいちょい笑えるところもあって筆者はかなり楽しめましたよ。北野作品常連さんから初参加の方々まで「本番1回」撮影は緊張の連続だったろうけど、皆好演していたし。次回作は6年も待たずに・・・公開してほしいなぁ(祈)!

 

<其の810>シリーズ30作目「ゴジラー1.0」超短評

 11月なのに、まだTシャツで過ごせる・・・。地球は大丈夫なのか!?

 

 先日、「シン・ゴジラ」以来となる国産映画「ゴジラー1.0(ゴジラ・マイナスワン)」を観ました。監督・脚本・VFX山崎貴。山崎監督は過去作にゴジラをちょろっと出したり、西武園ゆうえんちの「ゴジラ・ザ・ライド」の演出も手掛けてる。あの「シン・ゴジラ」の後なので、あまりハードルを上げずに鑑賞した次第。公開前は徹底的に情報統制してたので(この間のジブリみたいだな)筆者もそれにならって、ネタバレしない範囲で、少~しだけ書きますわ^^。

 

 許されるだろう範囲として・・・

●物語は昭和20年から始まって昭和22年まで。

●主役の神木隆之介は生き残った元特攻隊員。ヒロインの浜辺美波とは戦後に出会う。

(神木くんと浜辺さんへの出演オファー&撮影は朝ドラ「らんまん」前だって)

 

 これぐらいかな~!?勿論、ゴジラの日本上陸からの街での大暴れあり(当たり前だ)!「戦後まもなくの日本が舞台」という事で自衛隊もまだないから、筆者はGHQが全面的に戦う筈・・・と予想していたら、映画では、とある事情でGHQは日本に丸投げ(笑)!国民がゴジラに立ち向かう。ネットで騒がれている(!?)某大御所俳優も1カット出てます(ノンクレジットだけに、カメオ出演ってやつですか)。

 ゴジラファンの山崎監督だけあって1作目の「ゴジラ」と金子修介監督の「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」の影響ありあり。で、もって「シン・ゴジラ」でやらなかった“海上でのゴジラとのバトルシーン”の為(詳しくは書かない)、CGオンリーだけでなく、わざわざ海上撮影も行ったところが山崎監督のこだわりだって。船酔いもあって監督もキャストも酷い目に遭ったそうだが(笑)。

 山崎監督のこれまでの監督作から考えても、彼のキャリアの集大成的な意味合いもある今作。全体的に面白い映画だったけど・・・ゴジラの描写が良かったので、人間ドラマも大事だけど、もう少しゴジラも観たかったな~。あと、これもネット上で話題になってるラスト直前の某シーン(これも書けない)。映画館で「無理、無理、無理!」と心の声が思わず口から出てしまった(笑)。さらにそのシーンのアレね・・・。次のゴジラであの<伏線>は回収されるのだろうか?あと、個人的にはタイトルをもっと早いタイミングで出していれば「ー1.0」の意味合いが強調されて良かったのに・・・とも思った次第。

 

 あれこれ不満も書いたけど、先に書いた通り、ゴジラが大迫力で日本を恐怖のどん底に叩き落とす面白い怪獣映画よ。少年時代、「昭和ゴジラ」後半のゴジラが“いいもの”でマンネリの怪獣プロレスやる諸作品が嫌いだった筆者としてはやっぱりゴジラが怖い存在の方がいいね^^

 

 またまた<新作レビュー>が増えてきたな・・・(汗)。今年はあと3本は映画館に行く予定なので、平にご容赦の程をー!!