11月になりました。今年も残り2か月弱・・・。これじゃあっという間にクリスマスきて、新年も迎えちゃう(苦笑)!
先日、白石和彌監督最新作「十一人の賊軍」を鑑賞。「仁義なき戦い」シリーズ他で知られる名脚本家・笠原和夫が1964年にボツ食らった脚本のプロット(←激怒した笠原は書き上げた脚本第一稿を破り捨てたという)を元に作り上げた時代劇版「特攻大作戦」ともいうべき一作です(あえて粗筋は割愛^^)。たしかCMだか予告だかで「東映集団抗争時代劇の狼煙」云々とかナレーションついてたけど、ご年配の方か映画オタクじゃない限り、意味わかんないって(苦笑)。
そもそも「東映集団抗争時代劇」とは1963、4年頃、東映では従来の時代劇が観客に飽きられ、任侠映画に以降する短期間に製作された作品群を指す。スター俳優に集中しない重めの設定&リアルな殺陣が特徴で、メジャーなところでは工藤栄一監督の「十三人の刺客」(後に三池崇史監督でリメイク)や「十一人の侍」、「大殺陣」の他、「柳生武芸帳 片目水月の剣」、「十七人の忍者」、「十兵衛暗殺剣」、「忍者狩り」、「幕末残酷物語」他が製作された。でも、これまた飽きられてしまい、ほぼ同時進行で製作された「任侠映画」が主流になってしまう、、、という歴史あり。笠原氏による「十一人の賊軍」も集団抗争時代劇の1本として書かれた訳。
上映中につき、細かい事は書きませんが・・・いや~、惜しかったなぁ!嫌いじゃないけどさ。賛否両論あるのも良くわかる。脚本がね・・・ちょっと雑なんだよね。ちなみに、砦を守る為に集められた死刑囚10人に加え、指導&監視役の侍も4人いるから、タイトルの数字が違うとツッコミそうだけど、「十一人」の意味は最後の方で分かるのでご安心あれ!?
まず、このテの映画は「七人の侍」じゃないけど、死刑囚10人の人物紹介と、砦の地図を広げて作戦と担当エリアを決めるのが作劇上のセオリーじゃない。それなのに人物紹介はごく一部の人だけ。おまけに特に作戦も決めず、ひょんな事がきっかけで戦いがスタートしちゃうから、序盤は誰が誰だかよくわからない内にメンバーがやられる展開に(苦笑)。少々人数減ってからは整理されてきて分かるようになるけど、先述した大前提がなかったのが痛い!あと敵方に、お笑いのナダルがいたのはちょっと・・・。いつギャグやりだすんじゃないかと悪い意味でハラハラした(苦笑)。
でも、白石監督お得意のバイオレンス描写は相変わらずの冴えだし、家老を演じた阿部サダヲの芝居もいい。中でも“爺っつあん”と呼ばれる人と仲野太賀の殺陣は・・・凄かった!特に仲野くんが大勢さんを相手する大立ち回り(殺陣やるの初めてという事で半年前から訓練したそう)はマジで痺れた!!脚本が良ければ、もっともっと面白く出来たと思うと、本当に惜しい!!同じ東映作品でも合戦シーンがない戦国絵巻・キムタクと綾瀬はるかの「レジェンド&バタフライ」よりは面白かったけどさ(笑)。
近年「時代劇は衰退しつつある」とはよく言われるけど、今作の他、「八犬伝」や“令和の「カメ止め」”「侍タイムスリッパ―」がヒットしてるのは嬉しいね!日本ならではのジャンルだし、殺陣や乗馬、結髪ほか職人芸が次世代に伝承されないと、今後作りたくても作れなくなっちゃうから、現代劇に比べコストがかかるのは承知しているけど、映画の方々には頑張ってほしいものです。
<重要な追記>今月末に大傑作「ルパン三世 カリオストロの城」と、都内単館ではあるものの「伝説巨神イデオン(2本立て)」がリバイバル公開(嬉)!このブログ読んでて、未だ2本とも観ていない方はお見逃しなきように!!映画オタク&アニメファンは必見です!!!