其の622:忍びよる黒い影・・・!「レッド・ムーン」

 ・・・12月も中旬となりました。発表された今年の漢字一字は「金」でしたが・・・仕事面で考えると「騒」あたりですかね〜(今年の芸能界はいろいろありましたから)。個人的には去年も今年も平凡の「凡」!特に何もしないでまた終わる・・・(哀)。


 愚痴から本題へいきましょう(笑)。今回は映画「レッド・ムーン」(米:’68)を!今作、その昔、本で読んでタイトル&内容を知って、凄く観たかったんだけど全くソフト化されず、知る人ぞ知る映画になっていました。それが先日TSUTAYAオンデマンドで国内初DVD化(嬉)!!速攻発注して鑑賞しましたわ♪「西部劇」のスタイルを借りた完全に「スリラー映画」です。


 19世紀末、先住民が次第に平定されつつあった頃のアメリカー。騎兵隊のベテラン偵察員サム・バーナー(=「ローマの休日」のグレゴリー・ペック)の一行は道中、老人や女子供ばかりのアパッチ族の一団を保護する。その中に混血の少年を連れた白人女性がいた。彼女の名はサラ(=「北北西に進路を取れ」のエヴァ・マリー・セイント)。彼女は10年前、アパッチに全滅させられた隊の生き残りであろうと推察されたが本人は多くを語ろうとしない。キャンプ地に戻ったサムは予定通り軍を辞め、新居があるニューメキシコへ出発する準備にとりかかる。そんな彼にサラは今すぐキャンプ地を出してくれるよう懇願、やむなくサムはサラと息子を、彼女が希望するコロンバスへ行けるように途中まで付き合う事にする。
 駅舎に辿り着き、他の乗客たちと共に駅馬車の到着を待つ3人。ところがサラの息子が駅舎から忽然といなくなる。激しい砂嵐の中、サムとサラは少年を探し出し、ビバークして砂嵐をやり過ごす。ようやく3人が駅舎に戻ってみると、駅馬車を待っていた人々が全員殺されていた!!そのやり口からサムはアパッチ族の中でも凶暴として知られる戦士サルバヘが犯人だと推理する。サラに求婚し、ニューメキシコにきた3人だったが・・・サラは10年前、連れ去られた際、サルバヘの妻にされ、彼女の連れ子はサルバヘの子供だったのだ!息子を求めて復讐の鬼と化したサルバヘが殺戮を行いながらサム達の居所に姿を見せずに忍び寄ってくる・・・!!


 どうですか、面白そうな話でしょう(21世紀の現在視点で観るとベタだけど)!?姿を見せずに襲撃を繰り返してくるイ●●●●ン(放送禁止につき伏字)の恐怖!!その見せ方は「ゴジラ」第一作と同じですよ(その後、スピルバーグは「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」とかでも引用)^^。今作でもハリウッド作品における日本映画の影響を垣間見ました(笑)。

 セオドア・V・オルセンのベストセラー小説の映画化(映画原題「THE STALKING MOON」)。昔の文献にはサルバヘの名前が“しのびよる月”と書いてあるんだけど(だから「ストーキング・ムーン」)字幕には一切出てこなかった!この事がわかんないと原題及び邦題の意味がわからないから、この点はご注意!

 監督はロバート・マリガン。グレゴリー・ペックとは、かの名作「アラバマ物語」でも組んでいる。最初はテレビの方でサスペンスものとか演出して、後に映画に進出。ほかでメジャー作というと「おもいでの夏」・・・あたりか(これは青春映画)。若い人は・・・知らんだろうな〜(苦笑)。でもって、製作がアラン・J・パクラ(「アラバマ〜」も)!最初、プロデューサーやってたけど後に「大統領の陰謀」とか「ペリカン文書」とかのサスペンス映画を監督したお方。そんなマリガンとパクラが作った映画だから、単なる西部劇になるわきゃない。ペック扮するサムの家にサルバヘ(めっちゃ強い)が侵入しようとする下りは・・・超ハラハラするぞ^^

 主演のグレゴリー・ペックは<粗筋部分>でも書いたように「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンの相手役演った人だから若い人でも知ってるとは思うけど(・・・いや、そう思いたい。そうあって欲しい)社会派作品から西部劇、アクション(「ナバロンの要塞」)からホラー(オリジナル版の「オーメン」)まで幅広く出演してた人なのよ。「白鯨」の船長役は当時ミスキャストと言われたりもしたけど(苦笑)、今作の“サラ親子を守るいい人”はペックで良かったと思う。「ローマ〜」の新聞記者役になんとなくつながる良さを感じた。対する相手役のブロンド美女、エヴァ・マリー・セイントはヒッチコックの「北北西〜」で筆者お気に入りの人だから採点が甘くなるけど(笑)、もう少〜し彼女の見せ場となる部分があると嬉しかったな〜。まぁ・・・いいけどさ。

 どうやら公開当時はベトナム戦争も終わっていなかったので、密かに迫りくる先住民の姿に、ジャングルより突如襲撃してくるベ●●ンの恐怖を反映させたようだが(→この時代は「猿の惑星」しかり、社会問題や社会不安を娯楽映画でも入れ込むことが多かった)それを抜きにしても今作はなかなかのもの。編集もいまの映画はめちゃ速いけど、逆に遅い分、じわじわ来る感じ。また今の映画と違って、ばかばか煽る音楽ついてないのも“じわじわ感”を増幅させてていいわ〜^^

 
 「レッド・ムーン」という長い間、ソフトにならずに観られなかった映画を観ることが出来たので良かった良かった❤長生きはするもんだ(笑)。
 個人的にはまだ何本も<未ソフト化だけど観たい映画>があるので、今後もメーカーさんの努力に期待したいと思います^^