つい先程、参院選の結果が出ました。いま（２０１６年７月現在）はこのブログのように呑気に映画について書いていたりする自由がありますが・・・もしかすると数年後には、そんなご時世ではすっかりなくなっているかもしれません・・・（そんな歴史的な日になるかもしれない、この時を“後世に記録する為”にあえていま更新した次第です）。
さてお話ガラリと変わりまして・・・今回もまたまたメジャー作で申し訳ない！紹介するのは１９７１年のハリウッド映画「白い肌の異常な夜」（原題：Ｔｈｅ Ｂｅｇｕｉｌｄ ）です。タイトルは昭和風ポルノチックですが、そうじゃありません。サスペンス映画です（ホント。時代設定からいえば西部劇にも入るな＾＾）！！しかも主演がかのクリント・イーストウッドだから“メジャー”・・・だよねぇ！？
南北戦争末期、南部のとある森の中ー。戦闘で足を負傷して死にかけていた北軍兵士マクバニー伍長（←勿論、イーストウッド）はきのこ取りに来ていた少女によって発見される。彼が運び込まれたのは女性だけで自給自足の生活を送る女子学院だった。学園長以下、彼女達は男が敵方の兵士のため困惑しながらも、彼の看病をする事にする。上手に彼女たちに立ち振る舞うマクバニーに生徒や女教師、はたまた学園長までが彼に魅了されていく。やがて回復した彼を巡って、女性達は互いに嫉妬心を募らせていき、やがて観客の予想を越える怖ろしい展開に発展する・・・！！
敵に引き渡されぬよう保身のためもあって女性達を誘惑・凋落していくも、思わぬ異性の出現に興味津々となる女たちによって次第に翻弄されていく主人公を、イーストウッドが怪演！勿論、＜クリント・イーストウッド＞といえば“基本アクションスター”であり、出世作「荒野の用心棒」や今作と同年に公開された大ヒット作「ダーティハリー」その他、“寡黙ながら、頼りになる男”のイメージがありますが、今作ではちょいチャラくて超しゃべるしゃべる（笑：ファンは相当困惑する可能性大）。彼の出演作の中では異色中の異色作といえる。
イーストウッドが何故ある意味、今作で“イメチェン”までしたかというと、トーマス・カリナンの原作小説「欺かれた人々」を当時、師と仰いでいたドン・シーゲル（クレジットはドナルド・シーゲル名義）に映画化案を持ちこんだのがイーストウッド本人であったからではないかと思う。イーストウッドは今作直後、同じく“女は怖い”映画「恐怖のメロディ」で念願の監督デビューを果たすのだがー今作の撮影の合間には、シーゲルの様子を追った短編（いまでいうメイキング映像の類いか）を撮ったと言われている。で、それ繰り返しみて演出法を勉強したんじゃないかと邪推する。
筆者も学生時代、今作のタイトルのエロさに魅かれてＴＶ放送した際、初めて今作を観た一人だが（←男子学生にありがちな理由。日本の宣伝会社の勝利＾＾）女生徒のひとりが乳出すぐらいで期待程にはＨじゃなかった（爆笑）！で先日、必要以上にいい年ぶっこいてから再見した訳だが・・・あまり書くとネタバレするんで深くは書けないけど、南北戦争の写真（セピア調）から次第に通常のカラーに変化していく冒頭に始まり、「女だらけ」の状況設定、想像するだけでも怖ろしいゴア描写あり・・・ハイレベルのサスペンス・スリラーである事を再発見しました。
それもその筈、製作・監督を兼務したドン・シーゲルのほか、スタッフにはイーストウッドがシャーリー・マクレーンと共演した西部劇「真昼の死闘」（’７０）のジョン・Ｂ・シェリーとポール・ニューマン、シドニー・ポワチエ共演作「パリの旅愁」（’６１）を執筆したグライムス・グライスが共同で脚本を担当。カメラマンには後年、イーストウッド主演・監督作「ペイルライダー」も撮ったブルース・サーティース。更に音楽は「スパイ大作戦」でお馴染みのラロ・シフリン（♪チャラ〜ン）！！予算規模はハリウッドのＢ級レベルながら超一流スタッフが顔を揃えていたのだ。これで面白くない訳がないよね。後年、シーゲルは今作を自身の最高傑作だと自負していたようだし、企画持ち込んだイーストウッドも気に入っていたそうだ。
誰でも書きそうな、ありがちな論評でまとめると後に名匠として世界映画史にその名を残すであろうクリント・イーストウッドが監督進出に備えて“大いなる助走”となったのが今作「白い肌の異常な夜」だ。よくイーストウッド作品からは彼のマゾ的嗜好を指摘されるけど、その最初の発露としても今作は重要作だと思う。イーストウッドファン、映画オタクは必見の１本。
余談ながらイーストウッドは劇中、１７歳の女子生徒とニャンニャンしますが（死語）、これは「淫行罪」ですから、いくらイーストウッドファンでもそういうところは真似しないように！彼はこれがバレて・・・世にも恐ろしい目に遭いますんで！！一応、大人として注意喚起しておきました❤
