其の617:アラサー独身女性の地獄巡り「結婚相談」

 ・・・未だ風邪完治せず。ここまで長期間治らないのも人生初!・・・死ぬのか!?

 先日、映画ジャンキーのSくんと飲んだ際に教えてもらった映画が今回取り上げる「結婚相談」(’65)です。主演は今じゃ伝説(?)の芦川いづみ。1968年に藤竜也と結婚して芸能界を引退されてるから・・・若い人は知らないだろうな〜。そして監督は、このブログでも度々取り上げている鬼才・中平康!!彼の作品なら観るしかないでしょう^^。内容は・・・このタイトルからは想像出来ないブラックユーモアあふれる人生映画だった!!! 


 婚期を逃して30歳になった内気なOL・鶴川島子(=芦川いづみ)。同僚の結婚式に出席した彼女は、焦りから新聞広告でみつけた「戸野辺力結婚相談所」に入会する。戸野辺所長(=沢村貞子)の紹介で、2人の男性を紹介された島子だったが、思いように話は進まない。3人目として果樹園を経営する50前の初老の男・日高を紹介された島子は彼に子供時分に亡くなった父親の姿を思い出し、日高と初めての夜を共にする。だが後日、日高に妻子がいる事を聞かされ激しく動揺する島子。この時、彼女は既に恐るべき<罠>に嵌められていたのだった・・・!!

 
 円地文子の同名小説の映画化という事ですが(筆者未読)・・・男女共に婚期が遅くなった21世紀・平成の現代視点で観ると30歳独身女性でここまで負い目に感じる人もいないだろうけど(筆者の周りにもアラサー、アラフォーの独身男女がいっぱい!時代も変わったもんだ^^)、ストーリー展開は十分に面白い^^。生憎、筆者は男なんで“女の性(さが)”については良く分かりませんが。

 公開当時は清純派女優・芦川いづみと今作の役のイメージが余りにもかけ離れているので賛否両論だったそうだが(DVDに入ってる「予告篇」では芦川本人がインタビューに答えて「大変な役」だとコメント。そんな音声を入れた予告編の作り方も斬新!)ホント、こんな可憐な人が・・・頑張ってますわ(注:おっぱいとか出ないので過剰な期待はしないように)。中でも特筆すべきは結婚相談所の女所長役の沢村貞子!!ネタバレ防止なので、詳しく書けないけど・・・彼女が超怖ろしい!!本物の悪人の性格って・・・こんな感じなんちゃうか?!彼女の怪演も大いなる見所。ここで、ひとつの“疑問”が浮かんだ。あのホラーの「貞子」って・・・沢村さんからとったネーミングじゃないだろうな(笑:多分違う)!?余談だが、芦川いづみの妹役に山本陽子、弟役に中尾彬!!流石に半世紀以上前の映画、2人共すげー若い^^。これも古い映画を観る楽しみのひとつ♪

 中平康の演出は今作もシャープ!会話の合間に突如カットインする歌謡曲の使い方やインサート映像の入るタイミングが絶妙!中平の太陽族映画「狂った果実」よろしくモーターボートも出るし(湘南の海ではなくて浜名湖ではあるが)。劇的なシーンで雷&雨という“わかりやすい演出”もあるものの、ラストの映画の締め方は・・・当時、こういうパターンで終わる手法というのも「モダン〜!」とか言いようがない(死語?)!中平は・・・やはり時代を遥かに進んだ<天才監督>だ。


 中平の諸作品や芦川出演作品ではいまいち知名度が低い「結婚相談」だが、せっかくDVDが出たので再評価される事を期待したい。

 
 <どうでもいい追記>加藤泰監督作「真田風雲録」がようやくソフト化(遅すぎるって)!東映だけに大河ドラマ“便乗”の臭いがプンプン・・・(笑)。