其の615:スピルバーグ最新作「BFG」を観る

 9月もはや下旬にさしかかりましたが・・・台風ばっかりで・・・一体どうなってるの!?

 そんな中、スティーヴン・スピルバーグ監督最新作「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」を観に行きました。筆者は大の雨嫌いなんだけど・・・時間がないんで半ば無理矢理(苦笑)。原作は児童文学の大家、ロアルド・ダールの「オ・ヤサシ巨人BFG」(あの「チャーリーとチョコレート工場」も彼の原作)。前にも書きましたが、筆者は“スピルバーグ世代”なので、彼が監督するのであれば劇場に駆けつけるのですよ^^。公開してまもないので、勿論ネタばれ書きません。


 イギリス・ロンドンー。児童養護施設で暮らす10歳のソフィー(=ルビー・バーンヒル)に友達はなく、いつも一人ぼっち。毎夜眠れずに夜な夜な館内を歩き回っていた。そんなある日の深夜、ソフィーは偶然窓から巨大な人の姿を目撃!!巨大な手によってベッドから毛布ごと持ち上げられ“巨人の国”へと連れ去られてしまった。彼女が目撃したのは心優しき老巨人<通称:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(略してBFG)>。人を食べる大型の巨人たちから嫌がらせを受けている孤独なBFGと少しずつ心通わせるソフィー。だが、凶暴な大型巨人たちはBFGの下に人間がいる事を知ってしまい・・・!?


 巨匠スピルバーグがエンタメ作を監督したのはフルCG作「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(’11)以来。実写のファンタジー作だと「フック」(’91)以来じゃないかしら(←生憎「タンタン〜」も「フック」も出来はイマイチだったが)?昔から「スピルバーグはディズニー映画の影響うけてる」とはよく言われていましたが・・・今作はスピ初のディズニー・スタジオのお仕事!!もう還暦もとっくに過ぎたスピさんですが、相当嬉しかったに違いない。

 素直な感想を書くと→→→「面白い」というよりは「いい映画」!!この一語に尽きる。原作は未読なので、筆者は比較できませんが、いかにも“児童文学”という展開の中、スピルバーグらしいアクション、アドベンチャー要素あり。&ベタなギャグも健在(笑)。ただ前半の展開が・・・ちょっとタルい感じ。全盛期のスピルバーグならもっと切れ味は良かった。終盤はテンポアップしたから良かったけれど。・・・筆者の世代は「ジョーズ」で大ヒットをとばし、以降、スピルバーグが世界の誰もが知るヒットメイカーに駆け上がっていく様をリアルタイムで接しているのでねぇ・・・。さすがにいい年食ったから仕方ないのかも(あの市川崑も晩年はかなり編集のリズムがタルくなってた)。余談だが、今作の脚本を担当したのはメリッサ・マシスン。スピのファンタジー代表作「E.T.」(’82)の脚本家!残念ながら映画完成前の昨年、亡くなってしまいました(神経内分泌癌)。彼女はハリソン・フォードの元奥さん・・・というのも映画ファンなら誰もが知るネタ。

 モーションキャプチャーでBFGを演じたのはマーク・ライランス。スピの前作「ブリッジ・オブ・スパイ」でアカデミー助演男優賞を受賞した。なんでも今作の出演オファーがあったのは「ブリッジ〜」のクランクインの日だそうで(驚)。BFGはライランスの顔の表情まで取り込んで作り上げたそうだが、彼は正にハマリ役だったと思う。ただ・・・人間に近いキャラをモーションキャプチャーで作ると・・・いまいちCGっぽいんだよな〜(ちと残念)。モンスター系なら何の問題もないけど・・・この辺りはもう少々、技術の進歩を待ちますか。書くまでもないが邦画の“某巨人”の造形よりは遥かに出来は良かったけどね(バレバレか^^)!音楽にジョン・ウィリアムズが<復帰>してくれたけど(前作「ブリッジ〜」は別の作曲家)・・・いつもと違って、あんまり心に残るスコアじゃなかったのも・・・惜しまれる。


 筆者の想像値より出来は少々低かったけど、スピルバーグが久々にファンタジー作品を作ってくれた事がなにより嬉しかった♪次回作が何なのか知らんけど、次も必ず観にいくぜ!世代なんで^^