其の581:石井隆最新作と伊藤計劃原作アニメ!

 今回は・・・いつもとフォーマットを変えて<あらすじ>を割愛しようかと(公開中につきネタバレ防止の意味もあるのですが)。気になる人は独自に調べてみて下さいね♪そういう<個人リサーチ>が今の時代、大事だと思うので(特に若い人は)❤


 先日、石井隆監督最新作「GONIN サーガ」を観ました。実はここまで書いてこなかったけど、昨年から三池崇史監督作「極道大戦争」と共に密かに期待を抱いていた作品。1995年公開の「GONIN」の<続編>で(注:「GONIN2」は女性たちがメンバーなんで、直接の続編ではないのよ)前作から19年後を描いている(今回集うメインの人々は前作で親が死亡した“息子たち”なのだ)。俳優業を引退した根津甚八が前作と同じ役で1作限りの“復帰”を果たした事でも話題となった。<石井作品のレギュラー俳優>竹中直人も前作とは違う役で怪演を披露してる^^。

 <前作のおさらい>も勿論あるんだけど、やっぱり前のを観て鑑賞にのぞんだ方が無難。筆者も前作をリアルタイムで観て以来だったけど、なんとかついていけた(苦笑)。観ていないと最初の人間関係が少々分かりづらいかも。

 バイオレンス・アクション映画でドンパチもふんだんにあるし、面白くなくはないのだけれど・・・ちょっといつもの石井作品とは違うかなぁ。人間の暗黒面を描くのが石井作品の常だが、今作は少々“情念”が足りない。珍しくいたぶられる女もおっぱいも出なかったし(笑)。ただ、石井さんが新作を撮ることが筆者は嬉しい^^。早く次をお願いします!!



 もう1本は劇場用アニメ作品「屍者の帝国」です。2009年、34歳の若さで肺がんにより亡くなった作家・伊藤計劃。筆者は彼の名前こそ知ってはいましたけど・・・著作は未読。その伊藤の遺した未完の絶筆を彼の親友・円城塔芥川賞作家)が引き継いで完成させたSF小説のアニメ化(しかもその他の原作と同時に3作劇場アニメに)。伊藤氏はアニメもお好きだったそうで^^。

 全く予備知識なしで観たのですが・・・19世紀末、かのヴィクター・フランケンシュタインによる死体蘇生技術が飛躍的に進歩し、亡くなった人々を“労働力”として活用する世界という設定が面白い。<ゾンビ+スチームパンク>ですね、これは。

 ロンドンの医学生ワトソンたちがその<ヴィクターの手記>を探して(→彼が創った人造人間には知能があり、感情を抱く“魂”も存在していたので、魂を持つ新しい屍者の製作方法が手記に記載されていると考えて)あちこち冒険の旅をするんだけど実在の人物も沢山登場して、ふと観ながら「帝都物語」を思い出した次第。あと途中までは「地獄の黙示録」の原作、コンラッドの「闇の奥」も入ってる。

 “いま時”のちょい難解な設定を入れ込んだお話ではあるけれど・・・いや〜、これは面白かった(詳しくは書けませんが)!絵柄もポスターとか観た時は、“いま時”のアニメファン狙った感じだと思ったけど(→男子は美形、女子は巨乳)、観ていてそれほど違和感もなかったし、作画も綺麗で良かったよ。


 原作読んだ人は、かなりキャラを整理していたり、設定はしょったりしているので評価が分かれるかも知れないけど、来月公開の作品(こっちは伊藤氏単独原作作品)も期待!但し、3本の内の1本、「虐殺器官」は製作会社が自己破産して上映延期に・・・(嘆)。フジテレビの資本が入っているんで大丈夫だとは思うけど、頼む、なんとか無事公開してくれ〜〜〜!!



 いつもは近所のシネコンか銀座界隈で映画を観る機会が多いのですが、上記2本は全くの偶然ながら、共に日頃は行かないエリア&新しく出来た劇場に足を伸ばしての鑑賞となりました。本当は余り移動に時間をとられたくないのですが・・・たまには行ったことのない劇場での鑑賞もいいっすね^^