其の508:海外に売るならこれ!?山田風太郎もの

 早9月になりましたが・・・相変わらず暑い&ホントに多忙でまたまた間が空きました(汗)。

 さて、「COOL JAPAN」と呼ばれて久しい2013年の今日この頃ですが・・・日本の対海外戦略はホントにうまくいってんのかいな?!「資源がないならアニメや漫画、映画にゲーム等の“著作権系”をもっと売り込め!」というのが筆者の以前からの考え。例えば「NARUTO ナルト」が海外で大ウケしているのであれば<忍者もの>をセールスするのはどうだろう!?そうなると横山光輝白土三平の漫画か小説の類か、という事になる。
 そこで今回紹介するのが「くノ一化粧」(’64)!「魔界転生」で知られる山田風太郎大先生の「外道忍法帖」の映画化。前作「くノ一忍法」でデビューした中島貞夫監督の第2作(前作よりエロ度とギャグ度はこちらの方が上)。なんと中島監督らと共にこれを大胆脚色しているのがあの倉本聰(驚)!彼にとって今作は黒歴史になっているかもしれんが・・・これまで何度も書いてきたように「人に歴史あり」である(笑)。


 由井正雪、丸橋忠弥らによる「幕府転覆計画」を察知した老中・松平伊豆守は忍者・服部半助に正雪の動向を探らせた。その結果、計画の資金源として豊臣家が密かに隠した莫大な財宝の存在が浮上。その在りかを解く鍵が大友忍者・6人のくノ一が体内に隠した<6個の鈴>にあることが分かった。伊豆守の命を受け、天草扇千代(=露口茂)を首領とする伊賀忍者の鍔隠れ6人衆は、鈴を奪取するためくノ一達がいる長崎へと向かう。だが彼等の行動はくノ一の首領・天姫(=弓恵子)に伝わっていた。こうして男女忍者の壮絶なエロ忍法合戦が幕を開けたー!!


 内容をダイジェストに書くとバカバカしい限りだが(苦笑)、前作「くノ一忍法」の好評を受けての第2弾(→前作からわずか2か月後の公開!!・・・昔の日本人の底力は本当に凄い)&当時の東映だけに超豪華キャスト!伊賀忍者に扮するのは先述の露口茂西村晃小沢昭一加藤武芦屋雁之助たち名優揃い。女優陣は弓恵子、緑魔子、三島ゆり子のほか春川ますみが物語のキーマン(キーウーマン?)として出演している。オールセットでの撮影だし、同じ“エロ女忍者もの”でも昨今のVシネマみたいに低予算制作じゃあないのよ。

 全体を「春」「夏」「秋」「冬」の4章にわけて、ある種“コミカル”に展開していくのだが・・・残念ながら、決してタイトな作りじゃあないのよ!現在のハリウッド・アクション等のスピーディーな展開になれきった人が観るとだらけるかも。だから今作を「傑作なの?!」と勘違いされて鑑賞されると困るのだが、あくまで<海外に売れるんじゃねーかネタ>なのでご注意を^^!ただね、外国人が喜ぶであろう(?)忍法が秀逸なの。

 いろんな<忍法>が出るんだけど(あ、エロ忍法とは書いたけど、そんなに裸は出ないから過剰な期待はしないように)・・・一番笑ったのが芦屋雁之助(後の「裸の大将」)がくノ一のひとり(松井康子)のパイオツを吸うと赤ちゃんに戻っちゃう!!これぞ「忍法ややこ返り」(笑)!で、赤子になった雁之助は哀れ、川に流されて出番が終了(爆笑)!!その他、アニメーションの合成やレビュー風バトル演出等、ユルユルな展開なれど見所は少なくない。

 中島貞夫からしたら大学出て、長いこと助監督でヒーヒー働いて、やっと監督に昇進したと思ったら、与えられた企画がエロ忍者もの・・・。で、超突貫工事で次を作らされ・・・彼も開き直ってメチャメチャやってやれ、と思ったのかもしれない(これぞ東映の社風)。そうじゃなきゃ、西村晃春川ますみの両人に今村昌平監督の「赤い殺意」のセルフパロディやらせないだろうし(苦笑)。ハナから脚本にあったのかさえ疑わしい。現場でいきなり2人に提案して撮ったと筆者は邪推している^^。


 それまでの緩い死闘(?)から、ちと切ないオチがつくものの(←でもツッコミ満載)基本的には少々ハズしてる「くノ一化粧」。由井正雪(念のため書くと実在した人物です)や豊臣の財宝とかの設定は外国人にはちと分かりにくいかも知れないが、“サムライ”と“忍者ネタ”は外国人には“鉄板JAPANネタ”だと思うので、山田風太郎作品をもっと海外に知らしめる必要がある・・・と思う次第であります。誰か心ある方やってくれんかな?まぁ、忍者と芸者が戦うオリジナル作品でもいいけど(笑)



 <どうでもいい追記:1>宮崎駿監督が「風立ちぬ」を最後に長編作品から引退宣言!・・・ということはジブリの展示館向けの“短編作品”は作るってこと?!

 <どうでもいい追記:2>実写版「ガッチャマン」がコケたそうで。リアルタイムで観ていた筆者から言わせてもらえば、あのメンバーは誰ひとりアニメに似てねー!!!おまけにその辺の街中で戦うとかスケール感、大幅ダウン。ギャラクターはいつからそんなにしょぼい組織になり下がったのか?前に実写やってヒットした「ヤッターマン」の二番煎じを狙ったのだろうが、観客はそこまで甘くねーゾ!