其の450:上映中の新作2本寸評

 4月になりましたが・・・大津波がくる前に新作2本分の“寸評”を(忙しいんで)^^

 
 まずは巨匠マーティン・スコセッシの新作「ヒューゴの不思議な発明」。残念ながらスコセッシの近年の作品はイマイチだが(アカデミーにノミネートされた割りに結果は散々だったし)・・・筆者が観にいった理由は“スコセッシが自身初の3D作品をどう料理したか?”の興味から。さて、その結果は・・・?!


 1930年代のフランス・パリ。モンパルナス駅の時計のねじを巻く仕事をしながら暮らしている孤独な少年ヒューゴ(=エイサ・バターフィールド)。そんなある日、彼は構内のおもちゃ店で商品を盗むところを店主のジョルジュ(=「ガンジー」、「シンドラーのリスト」のベン・キングズレー)に見つかってしまい、持っていた手帳を取り上げられてしまう。実は、その手帳には事故で亡くなった父(=ジュード・ロウ)が見つけてきた“用途不明の機械人形”の構造研究が書かれていた。機械人形を直すという父の悲願を果たす為、ヒューゴはジョルジュの養女・イザベル(=「キック・アス!」のクロエ・グレース・モレッツ)と共に手帳の奪還を試みる・・・。

 
 ぶっちゃけ、ヒューゴは人形の修理にいそしむだけで別に発明しないんで、この邦題は間違ってるし(笑)、お話は完全にファミリー向けの童話なんだけど・・・筆者は終盤、恥ずかしながら少々涙ぐんでしまった。ヒューゴくんの可哀想な身の上に同情したのではない。他の人はおそらく何ともないと思うけど、個人的には映画全編に溢れるスコセッシの“映画愛”、“先人への敬意(中でもジョルジュ・メリエス)”に対して感動したのよ!!

 <ネタばれ>になるんでサイレント時代の映画監督ジョルジュ・メリエスが何故ストーリーに絡むのかは書かないが(→申し訳ないが、メリエスやグリフィスあたりの名前は“基本中の基本”なんで、分からない読者は自分で調べてね)劇中にはメリエスの代表作「月世界旅行」やリュミエール兄弟の「ラ・ジオタ駅への列車到着」、グリフィスの超大作「イントレランス」(尺は短いけど)も登場(さすが映画の保存にも尽力しているスコセッシ)。今作は<スコセッシ版ニュー・シネマ・パラダイス>といっても過言ではない。いい映画だった^^。
 肝心の<3D>は、ただ手前に飛び出してくるばかりでなく、奥行きを見せる演出も多々とられていて、初めて3Dに好感が持てたのも事実。本当は2Dで十分なんだけど・・・この作品は3D鑑賞をお薦めしたい。もっとも前売り券買ってても3D料金、追加で“搾取”されるから、既に持っているなら3Dメガネ持っていった方がいいゾ(→メガネ分、100円安くなります)。


 
 そして、2本目が「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」。監督ガイ・リッチー、ロバート・ダウニー・Jr.&ジュード・ロウ(←「ヒューゴ」にも出とる)トリオによる“新生ホームズ”第2弾。前作はおおむねシャーロキアンたちにも好評だったようだが、今作の出来栄えはといいますと・・・。

 
 お話は・・・19世紀のイギリス・ロンドン。欧州各地で起こる連続爆破事件を調べていたホームズ(=もち、ダウニーよん)は悪事に手を貸しているアイリーン(=レイチェル・マクアダムス)が持っていた手紙を元に、ワトソン(=ジュード)を伴ってジプシーのシム(=オリジナル版「ミレニアム」3部作のノオミ・ラパス)を訪ねたものの、謎の殺し屋たちに襲われ、その間に彼女は姿を消す。翌日、結婚式を挙げたワトソンは新婚旅行中に襲われ、ホームズに助けられる。爆破事件の首謀者であり、2人の命を狙うのは天才犯罪者・モリアーティ教授(=ジャレッド・ハリス)。2人はモリアーティと対決すべくフランス・パリへの向かうのだが・・・!?

 
 コナン・ドイルの超有名原作小説(短編)「最後の事件」をベースに(→ちなみに宿敵モリアーティ教授が出てくる原作は「最後の事件」と「恐怖の谷」のみ)ものすご〜く脚色&長編化したのが今作(笑)。前作同様、ほとんどアクション映画だが(笑)、森の中での銃撃シーンやホームズ&モリアーティの<脳内予想バトル>の映像などリッチーらしいテイストが冴えまくる(時々、ここまでやらずに普通でいいんではないかい、とも思ったが)。前作に抵抗がなかった人なら、大丈夫な一篇。但し、展開がめちゃ早いので、気が抜けない分、観てて疲れるけど(苦笑)。

 ファンならご存じの通り、原作では「最後の事件」で文字通りホームズは●●●●になるわけだが(映画と異なり、原作でワトソンは、ホームズの最後を“直接は見ていない”)数年後、読書からの熱烈なエールに応えるべく復活しているので、映画も「コケなければ、続編あるんだろうな〜」と思っていたら・・・やっぱり、そういう終わり方(笑)。正式に決まったかどうか知らんけど・・・まぁ、第3弾やるでしょう^^。