其の394:80年代テイスト炸裂「エクスペンダブルズ」

 筆者世代にとってシルベスター・スタローンが主演した「ロッキー」と「ランボー」は外せないソウルフルな映画である。そのスタローンの呼びかけによって、新旧アクションスター・・・ご存じブルース・ウィリスに「北斗の拳」のファルコのモデルにして不発だった<人間核弾頭>ドルフ・ラングレンジェット・リー(→筆者世代にとってはリー・リンチェイ)にジェイソン・ステイサム(「トランスポーター」シリーズ)、「レスラー」、「アイアンマン2」のミッキー・ローク。その上、今や政治家のアーノルド・シュワルツェネッガーまでもが集結した夢のアクション大作が「エクスペンダブルズ」!!80年代テイスト満載のアクション・・・これを観ずにいられるか!!「おっさん達が頑張る映画でしょ?」の一言で終わるだろう青少年たちは別に観なくてよろし^^。


 本名、経歴一切不明のバーニー・ロス(=スタさん)をリーダーとする「エクスペンダブルズ(「消耗品」の意)」は多額の報酬は要求するものの、仕事は完璧に遂行する凄腕傭兵集団。難なくソマリア武装海賊たちから人質を救出する<仕事>を終えたメンバーに次に届いた依頼は南米の島国ヴィレーナを牛耳る独裁者・ガルザ将軍の暗殺。そこでバーニーとリー・クリスマス(=ステイサム)は<環境保護団体>と称して島の偵察へ。依頼主が手配した女性サンドラの案内によって島内を廻る2人。ところが彼女が将軍の娘ながら反政府活動をしていることで政府軍に見つかってしまう・・・!!
 というのが映画の序盤ですわ^^。ちなみにウィリスが<謎の仕事の依頼主>で、シュワちゃんはスタさんの<同業者>役。ガルザ将軍の話を聞いて、あっさりスタさんに仕事を譲っちゃう(笑)。

 
 今作「エクスペンダブルズ」においてスタさんはこれまで同様、主演・監督・共同脚本の3役を兼任。「社会に馴染めなくなった男たちを描いたら面白いんじゃないか」と考え、「特攻大作戦」(’67)や「戦争の犬たち」(’80)を参考に脚本を書き始めたという。「エクスペンダブルズ」のメンバー、ジェット・リージェイソン・ステイサムにおいてはスタさんが共演未経験ながら2人のファンだったことで当て書き!こうしてスタさんの<直依頼>によるキャスティングがスタートした。

 ジェットは企画を聞いただけでスタさんに会わずして出演を快諾。ステイサムにおいてはスタさんに呼ばれて、ダッシュで指定場所に駆けつけて即OK!彼曰く「(スタさんのような)伝説の存在と一緒に仕事をする機会をオファーされて断るバカなんていないよ」とナイスなコメントをしている^^。「デモリションマン」のとき「あのロッキーと共演できるなんて・・・」と感動していたウェズリー・スナイプスは、今作でも当然オファーを受けたのだが脱税容疑のゴタゴタで出演できなくなってしまった。かえすがえすも残念!!ミッキー・ロークは(近年、アクション映画にも出るようになったけど、その昔は色男俳優として一世を風靡した)スタと長年の友人ということで、彼のどん底時代にはスタが自腹でロークのギャラを払って共演したことも(「追撃者」)。ロークも返り咲いてよかったよかった^^。
 ウィリスとシュワちゃん出演に関しては「もし、これが自分の最後の映画になったら?!」と考えたとき「3人でいる映像を残そう」というのが、そもそもの発端。スタさんと彼らはその昔「プラネット・ハリウッド」を共同経営していた友人なんで、スタさんの電話一本で出演OK!シュワちゃんの周りは知事だけに最初はうるさかったらしいが、ノーギャラで公務に影響のない時間帯(土曜のド早朝)に撮影してことなきを得たそう。3人での出演時間は短いけれど、アクション映画ファンには終生忘れえぬ1場面となった(果たしてシュワちゃんは知事の任期が切れたら、俳優復帰するのだろうか?)。

 ストーリー的には、まぁ・・・これまで山ほど観てきたパターンで目新しさはないけど(笑)その分、我々が観たい銃撃戦、カーチェイス(少々「コブラ」を彷彿)、肉弾戦に爆破・爆破・爆破ーのオンパレード(「ランボー/最後の戦場」でもあった人体損壊場面も大幅アップ。お約束の「男の友情」も勿論あり)!!齢64にして90%は自分でアクションやってるスタローン・・・「ランボー」でも崖からダイブして入院したけど、今回も首に大怪我を負った・・・やっぱ、この人は凄い!!物語中盤での水陸両用飛行艇を使ったアクションにしても、クライマックスの宮殿のシーンにしても最低必要限しかCGを使わずにマジで大アクション&爆破をやってるからねぇ(→アメリカ本土では怒られるのでブラジルでのロケ)。「80年代アクション映画ここにあり」、ですわ^^。ハリウッドの映画人が忘れていた、どんなにお金をかけてCG作っても、実物大のセットを破壊する迫力にはかなわないという、いい見本になったのでは。


 スタさんは先日ドルフ・ラングレンと来日した際、「続編を作る」と公言したが(筆者もその場にいたのよん)是非、次は出演できなかったウェズリー・スナイプスに、今回は出演を断ったジャン=クロード・ヴァン・ダムスティーヴン・セガールカート・ラッセル(スタさんとは「デッドフォール」で共演)にも出てほしいね。あとはジャッキー・チェンチャック・ノリスも出てくれればーもう完璧(笑)!ちなみに当初<悪役>で出演予定だったフォレスト・ウィテカーベン・キングスレーの2大アカデミー俳優は次回持越しということでひとつ(→代わりに出たジュリア・ロバーツの兄にして、以前スタさんと「スペシャリスト」で共演したエリック・ロバーツも頑張ってはいたと思うけどさ)!


 <どうでもいい追記>1)レンタルで「宇宙戦艦ヤマト 復活編」を観た。ド頭に「原案 石原慎太郎」とクレジットが出てビックリしたが(笑)、キャラクター造形のクオリティーの低さと(→作画スタッフに「イデオン」の湖川友謙もいたのに・・・)メカの「大CG大会」にガックリ。おまけに最後に「第一部 完」のスーパー・・・。予想通り、映画は大コケしたから「第二部」はもうないんじゃないの(てゆーか、当たる前提で謎を残して作らないでほしい)。
 2)試写を観た某映画評論家先生から実写版「ヤマト」の話を聞いた(何故、日本映画なのにわざわざ「宇宙戦艦」を英訳しているのか意味不明)。すると、な、なんと超重要キャラ●●●●●●が出てこないんだって!!おまけに映画の中盤で●●●●が●●!!!・・・もう、これはオリジナル観ているファンにとってはヤマトに非ず。監督の山崎某は今後、永久に「三丁目の夕日」の続編でも作ってなさい(怒)!!!