其の386:掟破りの公開前映画

 久々の更新・・・超多忙に加え、前のPCが故障して、NEWマシンに買い換えた為です。いや〜、最新型はやっぱええわ^^!

 その間、券をもらったんで「借りぐらしのアリエッティ」を観ましたが・・・物足りない出来でしたわ。原作付きとはいえ、いくらでも面白くなる題材だったのに残念!「脚本・宮崎駿」とあるが自分で監督しないんで手を抜いたんちゃうか!?


 前ふりはこの辺にして本題に。本当は別ネタを考えていたのですが・・・試写会(=業界の数少ないおいしいところの1つ♪)で石井隆の最新作を観てしまった・・・それも氏のいまのところの最高傑作「ヌードの夜」の17年ぶりの続編!よって急遽作品変更(笑:正式タイトルは「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」)。竹中直人が前作同様、村木役を好演してマス^^。前作を観て予習してから、今作を観るようにしましょー。


 「何でも代行屋」紅次郎こと村木哲郎(=竹中直人)の下に、ある日、可憐な娘・加藤れん(=佐藤寛子)が仕事の依頼に現れる。ところがその内容は「亡くなった父親の散骨を富士の樹海で行った際、誤って落とした形見のロレックスを探してほしい」というもの。どうせ嘘だろうと思いつつ、連日樹海を探し続けた次郎は遂に腕時計を発見した!だが、それには怪しげな肉塊がこびりついていた・・・。ひょんなことから知り合った女刑事・安斎(=真中瞳改め東風万智子)に肉塊の鑑定を頼みつつ、れんに時計を渡す次郎。すると、れんから再び仕事の依頼が。「行方不明になっている女友達を探してほしい」−。れんは母(=大竹しのぶ)が営むバーを姉(=井上晴美)と共に手伝っているのだが、この母娘には“ある秘密”があった。そして彼女自身も離婚した父親(=宍戸錠)との間に誰にも言えぬ“深い闇”を抱えていた。女性を捜しながら次郎は予想もしない事態に巻き込まれてゆく・・・!


 劇画家・石井隆が長年書き続けてきた「名美と村木」のキャラクターについては余りに有名なので詳細は省くが(加えて前作「ヌードの夜」に関してもウン年前、ここで書いているので詳細はバックナンバーを参照して頂きたい)石井が約10年前に書き上げ、竹中直人に渡した脚本(→竹中も出た「フリーズ・ミー」の頃か?)の映画化。竹中が石井に電話したことから今作の制作がスタートした。

 石井作品といえば・・・男女のドロドロの愛憎関係+殺人、レイプといった凄惨な重大犯罪・・・<人間のダークサイド>が大きなテーマのひとつだが(もし実際にこれらの事件が起こったとしたらマスコミ大騒ぎ&コンビニ向け実録漫画で取り上げられることは間違いない)今作も石井調は健在!公開前なので詳しくは書きませんが冒頭から桐野夏生の「OUT」状態に(分かる人には分かる記述)。さらには「ビッグ・バッド・ママ」にショーケン版「八ツ墓村」までも加わり、凄い展開になっていく(本当)!!勿論、リドリー・スコットの「スモーク」同様、石井作品に欠かせない「雨」や「ネオンの明かり」等も随所に登場。あと得意の「明朝斜体」のスーパーに、「黒味へのフェード・アウトの連チャン」もあり^^。

 竹中は石井の初監督作品「天使のはらわた 赤い眩暈」(’88)からの<石井組常連俳優>。更に石井作品三度目の登場となる大竹しのぶ(→近年、稀にみる怪演!)、二度目の井上晴美に加えて、いつの間にか改名してた真中瞳(もとい東風万智子)に、完全に●●役の宍戸錠の出演にびっくり(よくこの仕事受けたな〜)!特筆すべきはグラビアアイドルの佐藤寛子(今作で初めて声聞いたわ)!「石井作品のヒロイン=脱ぎあり」というのは邦画界の常識だが(笑)当然、彼女も全裸解禁(アンダーもモロ)!で、ひとり●●まで披露するのでファンは仰天するかも!?日本のどこぞの映画祭は彼女に最低でも「新人賞」は与えるように!!“かつて女性(名美)を救えなかったトラウマを抱える男(村木)”と、“実の父親によって転落の一途を辿った女(れん)”という対比も興味深い。

 
 観客をど〜んとブルーにさせる内容が多い石井作品だが(→ここでハマるか否かに観客の好みは分かれる)今作はねぇ・・・ちょっと今までになかった終わり方で、これもびっくり(→今回、ここにとりあげた理由のひとつ)。この石井の心境の変化は・・・何なのだろう?「花と蛇」シリーズ作ったことで・・・何かあったのか(多分なにもないだろうが)?クエンティン・タランティーノ石井隆ファンを公言しているが、彼が石井の変化にどうコメントするか・・・是非聞いてみたいものだ^^。


 さて、次回こそは当初のネタ(古い日本映画)を書こうかな・・・と思いつつ、変わったらごめんね(苦笑)。