其の369:一見さんお断り「ライアーゲーム」映画版

 テレビ局が自社の映画作品を公共の電波を利用して<大量番宣>していることが批判されていることは重々承知だが・・・今回はフジテレビの連ドラの映画化「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」(タイトル、長っ)をご紹介!筆者は甲斐谷忍の原作漫画も読んでいるし、連ドラのシリーズ1、2も観ているので「最終回」にあたるこの映画を観ないと気になってしょーがなかったのさ!あくまで筆者の趣味のチョイスざんす^^。


 巨額のマネーを賭けて騙しあう「ライアーゲーム」に巻き込まれたバカ正直な女子大生・神崎直(=戸田恵梨香)が天才詐欺師・秋山深一(=松田翔太)の助けを借りて3回戦までを戦い抜き、ようやくゲームから離脱した・・・その矢先から物語はスタートする。ひょんなことから再び秋山らと決勝戦エデンの園ゲーム」に参加することとなる直。11人のプレイヤーが互いに信頼し合い、協力することができれば全員がゲームに勝つことができる内容なのだが、メンバーの中には<最強の刺客>が潜んでいた・・・。優勝賞金50億円を手にするのは誰か?そして、このゲームを運営する「事務局」の真の正体とは!?・・・ちなみにパンフには「ネタばれ防止」のため、わざわざ帯が付いてます(笑)。

 「ライアーゲーム(=ライアーは「嘘つき」の意)」というだけあって、ゲームのプレイヤーたち(=職業も年齢もバラバラ)は皆、一癖も二癖もある連中ばかり。ヒロインは全員の幸せのために「協力」を呼びかけるものの、他の連中は自分の保身ばかり考えていて(→ちなみに「負け」は莫大な負債を負うことを意味する)表面上では「善人」を装っていても、すぐ裏切る(苦笑)!そんな怪しい一同に対して直&秋山が如何に<頭脳戦>に勝利していくかが、この作品の一番の見所。筆者は「眼下の敵」とかハリソン・フォードの「逃亡者」のような「相手の裏をかく」頭脳戦や心理戦が大好きなのよ♪今作はさすが映画ゆえ「どんでん返しの連続」ってかんじですな^^。中でも「エデンの園ゲーム」は原作にはないオリジナルゲーム!脚本家たちは約20ものアイデアを出して、ようやく採用されたアイデアなのだそうだ。

 「漫画の実写化」というのは大前提として<漫画に似た俳優を起用>しないとどうしようもないんだけど(一昔前の漫画実写化作品を思い出してほしい。・・・ひどかったでしょ?それにしてもNEWSの山下くん扮する「あしたのジョー」は・・・大丈夫か??)戸田恵梨香松田翔太は(→実はこの映画、連ドラの「セカンドシーズン」の前に撮影を終えているのだ。よって「セカンド〜」はラストの映画につながるよう逆算してキャラを演じる必要に迫られた)それほど似ていないのに余り違和感がない。何故か?それは作品が漫画とは異なる<映像独自のアプローチ>を行っているからだろう。

 ドラマの「ファーストシーズン」から既にそうだったけど、この作品の特徴は、テンポよく進むストーリー展開&めっちゃ多いカット(→超今風)!中でも騙された人が呆然としたあと絶叫するところなぞ・・・この編集はすごいよ!なんでも編集マンがディレクターから特に指示を受けなかったので好きにつないだら・・・この作品の基本テイストになったそうだ(元々が深夜ドラマだったこともあって実験もある程度は許されるし、視聴者の目を引くにはどうすればいいかを考えたそうで)。筆者はこういう凝った編集、好き^^。

 そして「美術」!漫画はもうちょいノーマルな場所で行われているんだけど・・・ドラマも今回の映画も毎回色彩や小物に徹底的にこだわったすぐれもの(→ゲームが始まると室内がメインで展開されるため、視聴者が飽きない為の配慮)。今作は<要塞島>みたいな所が舞台になるんだけど、イメージする小島を探した結果、台湾で島の外観をわざわざ撮影したそうな。そしてメインとなる会場の内部セットは「エデンの園ゲーム」だけに、リンゴの木をベースに、床にはアダムとイブをそそのかした蛇をモチーフにしたデザインがさりげなく施されていてGOOD!

 ストーリー展開も編集方法もテレビを踏襲しているので筆者的には良かったのだけれど(→映画だからって、いきなり長回しとかされていたら興ざめしたと思う)勿論、タイトルに掲げた通り「何故、普通の女子大生のヒロインが、こんな狂気じみたゲームに巻き込まれたのか?」とか「頭脳明晰な秋山が何故、詐欺師になったのか?」等のキャラクターのバックボーンの説明は一切なし!中でも途中から出てくるヨコヤ(=演じるのは鈴木一真。一番漫画とキャラが似てない:笑)の行動は「ファースト〜」みてないと完全に意味不明だろう。冒頭でその辺り少々説明したほうが親切だとは思った。ラストの「事務局」の正体は・・・筆者の想定通りだった^^。まぁ、オチは・・・こんなもんでしょう(笑:過剰な期待はしないように)。

 「人が人を信用することの大切さ」、「正直な心をもつことの大切さ」をテーマにしているのもいい。プラス「金が人生の全てじゃない」ということも(笑:愛や人生をテーマにした作品は古今東西はいて捨てるほどあるし)。個性的なプレイヤーたち(→田辺誠一荒川良々濱田マリ関めぐみ、松村雄基ほか)の騙しあい、裏切りあいを楽しみながら「人間ってこんなんじゃよくないよな〜」とつくづく思いますぜ^^。


 <どうでもいい追記>米・アカデミー賞は結果「ハート・ロッカー」のひとり勝ちでした(前後に違法の投票依頼とか、モデル事件とかもあるけど)^^。キャスリン・ビグローも初の女性監督受賞ということで良かったと思う。「アバター」が敗れた元夫のジェームズ・キャメロンも「Yes、Yes」と語ったらしいし(笑)。
 それに加えてサンドラ・ブロックラジー賞アカデミー賞のダブル受賞!これも史上初ということでーいろいろと歴史に残る年になりましたとさ。