其の357:超凄!ディザスタームービー「2012」

 「1999年7の月、地球に恐怖の大王がやってくる・・・」とは、かのノストラダムスによる有名な「諸世紀」の一節。70〜80年代の人類は、この予言に恐怖した。幸い何事もなく、結果外れたわけだが(でも「恐怖の大王」には会いたかったな〜)2012年12月21日の古代マヤ族の予言が残ってた(苦笑)!それをヒントに巨費を投じて製作されたのが「2012」。この天変地異描写はマジで凄かった!あっという間の2時間38分、いいもん見せて貰いましたわ^^


 2009年、太陽から発せられるニュートリノが大量に降り注ぎ、核(コア)が熱せられた地球。地下の異常高温を察知した地質学者エイドリアン(=インド系の俳優キウェテル・イジョフォー。男っす)は近い将来、地球的規模の大災害が起こることを確信するー。3年後の2012年、売れない作家のジャクソン(=ジョン・キューザック)は離婚した妻(=アマンダ・ピート)を訪ね、2人の子供たちを連れてイエローストーン国立公園へキャンプに出かける。妻と思い出のある湖を子供たちに見せようとしたところ、なんと湖は干上がっていた上、3人は軍に拘束されてしまう。エイドリアンの助けで解放されたジャクソンたちに怪しげな男(=ウディ・ハレルソン)がこう囁く。「人類はまもなく終末を迎える。政府は船を造って一部の人間だけを助けようとしている!」丁度その頃、ロスで地震が発生。人類滅亡へのカウントダウンが始まったー!!
 ・・・ちなみに日本は一瞬で水没する設定(笑)。


 ストーリーの序盤はこんな感じで、後はジョン・キューザック一家サイドが大変な目に遭いながら災害から逃げまくる様と、米政府内で活動するエイドリアン・サイド(→大統領役には「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローバー。その娘にタンディ・ニュートン)が交互に描かれるんだけど、正直キャラクターやストーリーなんて二の次でいい。なんといっても見所は大地震による地割れ&ビルの倒壊に(崩れゆくビルから落ちてゆく人間たち!)火山の噴火、そしてヒマラヤをも飲み込む超巨大津波・・・ありとあらゆる自然災害の描写がド迫力!!これだけ凄いと、もう笑うしかない(っていうか笑った。勿論、場内で筆者だけ)^^。


 製作総指揮・共同脚本・監督はローランド・エメリッヒ(ドイツ人)。これまでにも彼は超巨大UFOに乗る極悪宇宙人軍団に人類を襲わせるわ(「インデペンデンス・デイ」)、ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」では韋駄天怪獣にニューヨークを破壊させ、「デイ・アフター・トゥモロー」では氷河期を起こして人類を滅亡寸前に追いやった故・橋本真也をも軽々と越える<地球破壊王>!その破壊王が「これが俺の作る最後のディザスター映画だ!」と気合入れて作っただけに、その描写の凄まじさが想像出来るだろう。勿論、お約束で嫌な奴やブルジョワな奴らはあっけなく死んでゆく(笑)!科学的考証については「空想科学読本」の作者にでもお任せします。


 でもね、今作の企画は本当は音楽家でありながら脚本も書くハラルド・クローサーの発案。エメリッヒの前作(そして駄作)「紀元前1万年」の製作をしているときにマヤの暦の話を知り、エメリッヒに話を持ちかけた(→主人公ジャクソンは自分の境遇を反映させたキャラだって)。彼は難色を示したものの、クローサーの巧みな話術&「ミクロの決死圏」のリメイク案がお流れになったため引き受けたのが真相・・・らしい。その結果、破壊王もマジになったと(笑)。


 現在のVFX技術の見事さ、素晴らしさは今更言うまでもないが(金と時間をかけさえすれば、もう創れない映像はありまへんな)視覚効果ショットが約1500カット、合計15社のVFX工房が参加(これだけの会社に発注したら、総額どれだけ金かかるんだろ)。その災害描写の全てが「凄い」の一言に尽きるが、リメイク版「日本沈没」の破壊描写も参考にしたそうな。その割には日本人は眼鏡をかけた政府首脳(台詞なし)と、どう見ても日本人ではない大陸系のおねーちゃんしか出てこなかったが(苦笑)。


 勿論、俳優陣の演技の大半部分は合成用グリーンバックによる<スタジオ撮影>。ところがエメリッヒは地震によって揺れる地面をリアルに見せるため、中でも「空港のシーン」では空気とバルブによって自由に揺らすことのできる巨大デッキを製作(面積なんと720平方メートル)!その上に人やセット、自動車や飛行機を乗せて撮影した。また「大洪水」はCGだけではなく、巨大なタンクを用いて実際に放水!俳優も・・・大変だねぇ(笑)。


 ラストはね・・・想定の範囲内の結末だったけど楽しめました^^。「ヨハネの黙示録」か、はたまた「ノアの再来」か、って感じ。筆者はパニック映画は勿論のこと、他に漫画の「漂流教室」や「マーズ」、「デビルマン」も大好きなんだけど・・・よ〜く考えると、これ全て人類滅亡のバッド・エンド系(笑)!少年時代の筆者が「ノストラダムスの大予言」や一連の終末思想の作品にどれほど影響されたか・・・我ながら恐ろしいほど感化されてますな(苦笑)。




 <どうでもいい追記>先日、ハリウッド・リメイク版映画「ファニーゲームU.S.A.」を観賞。筆者は基本、オリジナル派なんだけど、話もカット割りもほとんどオリジナルと同じと聞いたので、あえてリメイクの方を観た次第。でも噂通りの衝撃&不快な作品だった。ルイス・ブニュエルの「アンダルシアの犬」やパゾリーニの「ソドムの市」とか、もう二度と観たくない作品のひとつになったわけだが・・・人類もあと3年で滅亡なら、こういう映画もありか(苦笑)