其の181:愉しきかなB級「ビキニマシン」

 このブログは筆者が厳選に厳選を重ねた面白い映画を紹介すると共に、巨大な映画史の闇に消えつつある一般には余り知られていない作品に光を当てる目的もある。映画「ビキニマシン」(’65・米)は「タイタニック」や「アルマゲドン」のようなデート・ムービーしか見ない人たちはまず知らないだろう(笑)。手放しで傑作だとはいいませんが、この場において<記録>に留めたいと思う!今風に言うとキッチュでポップ、お洒落なSFアクションドタバタコメディー・・・ってかんじです(笑)。


 物語は60年代(公開当時)のアメリカ・サンフランシスコ。ゴールドフット博士(ヴィンセント・プライス)はロボット製造装置「ビキニマシン」を発明。ロボット美女を大量に作って各国の要人やセレブに送り込んでたらしこみ、彼らの財産をせしめようと企んでいた。その美女のひとりダイアン(スーザン・ハート)にひょんな事から恋心を抱いたヘナチョコ諜報部員と彼女と結婚した男がいつの間にやら博士の野望(笑)を知り、ひと騒動を繰り広げる。


 今作は当時、すでにシリーズ化されていた「007」をヒントに数多く作られたスパイ映画の亜流に属するもの(ジェームズ・コバーンの「電撃フリント」シリーズとかね)。それにSFテイストとお色気(=ビキニの美女多数動員)を加味してベタなギャグを散りばめている。見ていると「裸の銃を持つ男」とか「オースティン・パワーズ」を連想してしまう。アメリカ人はこういう映画、好きだからなぁ〜(笑)。

 
 悪人なのに主人公(「ヤッターマン」のドロンボー一味状態)のゴールドフット博士(おそらく「007/ゴールドフィンガー」のパロディ)を演じるのは名ホラー俳優ヴィンセント・プライス
彼を敬愛するティム・バートンは「シザーハンズ」に起用したほか、そのものズバリの「ヴィンセント」なる短編を作った程だがーその彼が楽しそうにお馬鹿演技を披露する(笑)。「美女ロボットを使って大金を狙うマッド・サイエンティスト」という設定も・・・セコい詐欺師のようでGOOD!今作はホラー以外での彼の貴重な出演作といっても過言ではないだろう。これもエルヴィス・プレスリーの「ブルー・ハワイ」やジェリー・ルイスディーン・マーチンの「底抜け」シリーズを監督したノーマン・タウログのなせる技か!?


 主題歌はダイアナ・ロスも在籍し、映画「ドリームガールズ」でグループ内のドロドロを暴露されたシュープリームスが担当。オープニング・タイトルの年代を感じさせるクレイ・アニメと相まって一度聞いたら忘れられません(歌詞はどうでもいい内容だが:笑)。
 B級ホラーやSF映画を量産したAIPが初めて100万ドル以上の予算をかけて制作したそうで(=AIPの看板俳優だったのがヴィンセント)、博士の研究室や地下の拷問部屋のセットはベタでチープながらもよく出来てます(あんまり誉めてないねぇ)。ビキニのグラマー美女やコテコテギャグ好きな方は必見!!


 それにしてもヒトラーからビキニまで、このブログの取り扱う映画は幅広いな〜(自画自賛:笑)。