其の142:どーなる!?「宇宙戦艦ヤマト」

 いま「宇宙戦艦ヤマト」の著作権が<漂流状態>にあるそうだ。きっかけは「ヤマト」を使ったパチンコ台の訴訟。裁判所の出した見解は「現在の版元に著作権は認められない」との事で、商品を制作・販売しているメーカーは困惑しているという(詳細はそのテのサイトでお調べ下さい)。本来は別の作品を考えていたのですがー急遽、我らが「ヤマト」を取り上げる!!


 西暦2199年。地球はデスラー総統率いる<ガミラス星人>によって、存亡の危機を迎えていた。放射能を含んだ「遊星爆弾」が降り注ぎ、人々は地下での生活を余儀なくされていたのだ。そんなある日、<イスカンダル星>のスターシャ(=美女!)から地球を救う唯一の方法として放射能除去装置「コスモクリーナー」を取りにくるようメッセージが届く。と同時に「ワープ航法」を可能にする宇宙船用エンジンの設計図が送られてきた。こうして人類は旧日本海軍の戦艦<大和>を宇宙用に改修して14万8千光年彼方のイスカンダルへと旅立つ。人類滅亡までタイムリミットは僅か1年・・・!果たしてヤマトの運命は!?


 ・・・とまぁ資料も読まずに一気に「1」の粗筋を書いてしまった(燃えるぜ:笑)。元はTVシリーズだったのだが低視聴率にあえぎ、あっけなく終了(裏では「アルプスの少女ハイジ」が放送されていた)。だが、一部の熱狂的なファンによりTVのダイジェストを劇場用映画として公開したところ大ヒット、社会的ブームとなる。これがいまの日本の「アニメ文化」のルーツとなったのは誰もが知るところだ。
 いま観ても人気漫画化・松本零士による秀逸なデザインの数々(キャラクター、メカ、舞台設計全般に及ぶ)はもとより、奇抜な設定の数々、そしてなにより<愛>をテーマとした物語・・・と全てにおいてクオリティーの高い作品だと思う。<何故、乗組員が全員日本人なのか>、<戦艦大和にナチを思わせる敵という設定が好戦的>という一部批判があった事も事実ではある(苦笑)。


 この大ヒットを受けて作られたのが劇場用映画第2作「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」。そして、これが前作を上回る空前の大ヒット(ファン同様、筆者もこれがシリーズ最高傑作だと確信する)!!
 ちなみに「主題歌」を歌ったのは全盛期の沢田研二作画監督は後に「伝説巨神イデオン」を手がける湖川友謙。画コンテを書いたのは後に「機動戦士ガンダム」のキャラクター・デザインを担当した安彦良和である(すみません、細かいネタで:笑)。
 今度の敵は「白色彗星帝国(=移動する要塞惑星)」。地球ひいては宇宙の平和を守るために、かつての宇宙戦士たち(古代進、森雪、島、真田、佐渡先生、アナライザーほか)が立ち上がる。これで<完結>とあって登場人物は次々と戦死!ラスト、主人公・古代は亡くなった森雪を抱いてヤマトもろとも<特攻>をかけるー。こうして観客の胸にヤマトの雄姿は永遠に刻まれた・・・かと思われた。

 
 ところが、終わった筈の「ヤマト」は劇場版を基に作られたTVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト2」で<ラスト>を変え(=古代は特攻しない!)あっさり<復活>!!
スペシャル版としてTV「新たなる旅立ち」が作られ、劇場用映画第3作「ヤマトよ永遠に」が公開。更に第4作「宇宙戦艦ヤマト 完結編」でようやく二度目の終止符を打つのであった。<商業主義>に走った結果、ファンにもあきられてしまったのだった(後の「ガンダム」も一時期同じ道を歩む)。
 その後もヤマトは「続編」がオリジナル・アニメで制作されたり、松本先生が「新・宇宙戦艦ヤマト」を執筆するなどー様々に形を変えて現在に至る(「パチンコ台」含む:苦笑)。


 冒頭に書いた<著作権の所在>も気になるところだが<心情的>にはもうそろそろ「ヤマト」を静かに休ませてあげたい気がする。筆者の少年時代に熱中した大事な作品として・・・。